第4章 行く先
し「思ったより長居してしまいましたね。煉獄さん、任務の準備はよろしいのですか?」
煉「問題ない!2人を蝶屋敷まで送り届けてから一度家に帰るとしよう!」
来た時と同じように3人並んで歩いていると、ふとしのぶが足を止めた。視線の先には1軒のお店、看板には薬の文字がある。どうやら薬品を扱うお店のようだ。
し「そういえば、切らしていた薬品があったので少し買ってきてもよろしいですか?」
もちろん、と2人は頷いて見送る。
薬屋の近くに団子屋があることに気付き、お昼ご飯を食べていないことを思い出した月奈は、煉獄をチラリと見上げる。
(…もしかしたらご家族がお昼ご飯を準備していらっしゃるかもしれない。それだと誘うのはご家族に失礼かな)
ーぐぅう…
お昼のことを考えたからだろうか、月奈は咄嗟に自分のお腹を押さえる。
(ぎゃぁぁあ、なんでこんなタイミングで鳴るの…!)
煉「そういえば、昼餉を食べていなかったな!…俺も腹が減った、そこの団子屋でいくつか買ってきてもいいか?」
気遣われた…。羞恥で今すぐ地面に埋まりたいと思いながら、団子屋へと向かった煉獄の後ろ姿を見つめる。
ふと、肩を叩かれ振り返る。しのぶが戻ってきたのだろうと思ったが、そこには2人の男が立っていた。
?「お姉さん、待ちぼうけ?お茶屋さんで少しお話でもどう?」
「?…あの、どなたかとお間違えでは?」
首を傾げて答える月奈の肩を抱き、間違ってないよと笑ってくる2人の男に眉根を寄せる。
(困ったなぁ…)
「…手を退かしてください。知人の戻りを待っている最中ですので、待ちぼうけではありません」
月奈は左手を肩に置かれた男の手のひらにゆっくり添えると、男の顔を見る。
乗り気じゃないか、と下品な笑いをしていてとても気分が悪い。