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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第24章 誤魔化し



(忘れる…杏寿郎様とのことを…?)

カ「この薬は師範から預かったの。記憶があることが辛いなら、その記憶を無くしてしまえば楽に生きられる。夢に魘されることも無いでしょうって言ってたの」

瓶の蓋を開けたカナヲは月奈の頬に手を当てるとニコリと微笑んで唇に触れる。

善「え?カナヲちゃん?ちょっと…」

炭「カナヲ!?」

二人は薬の存在を知らなかったのだろう、カナヲを止めようと二人が動き出したが瓶が傾けられ薄く開いた月奈の唇にポタリと雫が落ちた。

「…っ!?いやっ!!」

瓶を落とそうと払った腕をあっさりとカナヲは捉えて首を傾げる。

カ「何が嫌なの?覚えていることが辛いんでしょう?」

「違…っ!」

カ「忘れたくないなら素直に言えばいいの。そうでないなら、私や師範は月奈が苦しむ姿を見たくないからこの薬を使うことも厭わない。それは月奈のためになるはずだから」

(忘れられればどれだけ幸せだろうって考えなかった日は無い。だけどその一方で忘れられないことに安堵していた)

「消したくない、杏寿郎様を忘れたら私は生きられない…やめて…ごめんなさいカナヲちゃん…」

カ「…だそうですよ、煉獄様」

カナヲは炭治郎と善逸に腕を押さえられながら月奈を見つめて息を吐いた。

煉「よもやその薬をこんな風に使うとは!末恐ろしいな胡蝶の継子は!」

口を押えられたまま抱えられた月奈は、久方ぶりに近くで感じる杏寿郎の香りに涙が止まらなくなる。忘れることなど出来ないのだ、自身の体が覚えてしまったこの人の存在を。

善「え?煉獄さんもこの薬のこと知っていたんですか!?」

炭「…知らなかったのは俺達だけですか?」

煉「その薬は俺が胡蝶に頼んだ物で、用途は別だ!記憶を失くすことが出来る薬などあるわけがないだろう!」

炭治郎と善逸に何かを訴えかけるような視線を向けられ、慌てて杏寿郎は否定をする。液体の正体は”睡眠薬”だということが分かれば、次に視線を向けられたのはカナヲだった。

カ「私は嘘はついていない。炭治郎も善逸も分かるでしょう?この薬が記憶を失くす薬とは明言していない」

飄々と話すカナヲの姿に二人はガクリと肩を落とす。そんな二人を横目に蓋を閉じると、小瓶を杏寿郎に渡したカナヲは「これで任務は完了ですか?」と問うた。
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