第24章 誤魔化し
カ「煉獄さんが直接話をなさらないのですか?私達では聞き漏らすことが出てくるのでは…」
煉「それを補佐出来るのが黄色い少年だ。耳が良いということは俺の声も届くだろう?」
炭治郎は鼻で気持ちの機微を感じ取り踏み込み過ぎないように調整する、善逸は杏寿郎の指示に従い聞き漏れが無いようにする、カナヲは月奈と仲良くしていた同性だ気を許すことも出来るだろう。そう言って杏寿郎は「頼んだぞ」と三人に視線を送る。
ー各個の特性を知った上での配役を瞬時に考え出したのか、さすが煉獄さんだな。
炭治郎は心の中で感嘆する。無限列車の時もそうだったが柱になる人間というのは驚くほど状況判断が早い、その上適切な指示を与える。
煉「この宿に月奈がいる。俺は話の聞こえる位置にはいるが、俺の存在は出さない方が良いと思う胡蝶と甘露寺の名も…どうだろうな」
炭「え?どうして…」
カ「炭治郎、私も三人からの指示というようなことは言わない方が良いと思う。…ただ柱合会議でのことは一般隊士の私達では知り得ない話です、様子を見て名前を出す場合もあるかもしれません」
杏寿郎はカナヲの適切な状況判断に少し微笑んで頷いた。
ーさすがに継子だな。胡蝶の指導の賜物だろうか、敏く育っているな。
善「…あまり不穏な音は聞きたくないなぁ」
耳が良い善逸にとって、聞こえる音は心地よい音ばかりではない。先程聞いた詳細から考えるに心地良い音になるような話では無さそうだと予想できるので善逸は更に憂鬱になってしまった。
炭「それじゃ、月奈に会いに行こうか!」
「…眠れない」
お館様の屋敷で転寝をしてしまったからだろうか。布団に入ってから何度寝返りを打ったかもう分からない程、寝付けずにただ布団の中で目を閉じ続けている。
ポツリと呟いた言葉に反応するものは勿論無く、ただ空気に溶けていく。目を開いた月奈は体を起こすと机の上の水差しに手を伸ばした。
「誰?」
背後から吹いてきた風に髪が揺れる、見ずとも分かる。窓が開いて何者かが入ってきた。
ーまさか一般人の私に奇襲をかける人などいないはず。ケガもしていない…
鬼殺隊に居た頃からの習性か自分の状況を瞬時に判断する。ケガをしていたならば稀血の関係で鬼が来る可能性もある。
カ「月奈、急にごめん。起こしちゃった?」