第24章 誤魔化し
雅「あの二人と話をするのはまた後日にして、今日は帰った方がいいのでは?もう大分遅い時間ですし」
「そう...ですね。なんだか疲れました、予想とは違う話が出たので...」
(鬼殺隊を抜けたことについての批判は覚悟の上だったけれど、杏寿郎様のことであれ程詰め寄られるとは思わなかったわ。お館様までおかしな事を仰っていらしたし)
雅「違う話?なんのことですか?とにかく鬼殺隊を抜けた月奈さんと蝶屋敷で出会うなんて驚きましたよ」
「あ、あぁ、気にしないでください!私も雅雄様に会うとは予想していませんでした、お元気そうで何よりです」
林道を歩きながら、月奈が消えた後の鬼殺隊の話を雅雄は話してくれた。その中には先程しのぶや蜜璃から聞いた杏寿郎についての噂も含まれていて苦笑してしまった。
「私ってそんなに煉獄様に頼りきりだったのでしょうか。だとしたら恥ずかしい限りです」
雅「え?頼りきりというか...お互いを支え合ってると思って見ていましたが。というか、煉獄様って...」
下の名前で呼んでいたはず、と雅雄は疑問に感じたが月奈の表情を見れば深く聞くことは出来なくなってしまった。
ー月奈さんが姿を消して半年。その間の炎柱様の状態は目も当てられない状態で、柱を引退するのではと囁かれたこともあった...それを踏まえるならば...
雅「関係が終わっている...?」
ポツリと呟かれた言葉は幸い月奈の耳に届くことはなく、木々の揺れる音に掻き消されていく。雅雄は確認をすべきか迷う、確認することにより月奈の傷を抉ることになるかもしれないのだ。
ー慎重に確認をするにはどうするべきだろうか...
「雅雄様、私はこの辺で大丈夫です。送ってくださりありがとうございました」
話している間に林道を抜け、街の喧騒が届く場所に辿り着くと月奈はペコリと頭を下げて走って行ってしまった。角を曲がっていく背を見送りながら雅雄はそっと溜息を吐いた。
雅「聞きそびれた。悩まず直接な物言いでも聞くべきだったかな...」
うーん、と首を傾げた瞬間、背中に視線を感じ振り返ると屋根の上の人影を見つめ両手を上げた。「何もしてません」と首を振ればその影は剣呑な光の瞳を少し緩ませた。
雅「それ程に心配ならば貴方が送ればいいと思いますが」