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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第23章 隠し事



(変じゃなかったかしら。問題無かった…わよね)

柱達を前にして、自分が逃げるように姿を消したことが悔やまれた。きちんと挨拶しておけば、事情を話しておけば…裏切者のような気持にはならなかったのだろうか。隠として関わり、皆良くしてくれたことを覚えているからこそ辛いのだ。

この心情を表に出すことは許されない、自分から去った癖にどんな顔で「もう一度戻りたい」など戯けたことは言えない。

「なんだか疲れちゃったな…」

緊張で張り詰めていたものが別室に戻ってきた途端に切れ、月奈はコロリと横になり目を閉じる。通常ならば招かれた家でこんなことはしないが、疲れが勝ってしまったのか月奈は軽い眠りに落ちて行った。

月哉が黄泉へと送られた今ならば、もう夢は見ない。これから夢に見るのは幸せだった昔の頃のはずだ。そう思って…



し「月奈。入ってもよろしいですか?…月奈?」

月奈が待機しているはずの部屋の前で声をかけたが、中に居るはずの月奈からは返事がない。しのぶは「開けますよ」と声を掛け薄く襖を開いて中の様子を伺った。

蜜「月奈ちゃん、もしかして帰っちゃったのかしら?」

行「否、胡蝶が来るとあまね様よりお話が通っているとすると勝手に帰ることは無いだろう」

部屋を覗くしのぶの背後で蜜璃と行冥は、心配そうに言葉を交わしている。あまねから月奈の顔色が悪かったと聞かされているのでもしかして倒れているのではないかと脳裏に過ぎった瞬間、しのぶが襖を勢いよく開き中へと入っていく。その後を慌てて二人が追った先には横になっている月奈の姿があった。

し「…月奈?眠っているだけ、のようですね」

蜜「なんだ、良かったぁ」

顔色が悪い理由は月奈の顔を見れば大方予想がついていた、目の下に化粧では隠しきれないクマが物語っている。
あまり眠れていないのだろう、それは夢見が悪いからなのかそもそも眠りに落ちることが出来ていないのかまでは分からないが。

ー前者の線が濃厚…?

月奈の寝顔は眉間には皺が刻まれ苦悶に近い、決して穏やかな眠りとは言い難い。汗で額に貼り付いた髪を優しく払ってやると行冥が羽織を脱いで月奈にかけてやる。

行「少し眠らせてから話を聞いても良いだろう」
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