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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第23章 隠し事



館「そうだね。あまね、私の隊士達に謝っておいてくれるかい?よろしく頼むよ」

部屋を出かけた月奈は「あぁそうだ。一つ言い忘れていたよ」と呼び止められお館様に向き直った。

館「月奈、後悔の無いように選択をするようにね。あの子もだけれど、君達は周囲を思いやりすぎて自分に目を向けなさすぎる。たまには自分の思うように我儘になることも必要だよ」

「あの子?自分に目を向ける…我儘はもう叶えて頂きました。これ以上我儘をいうことは…」

館「私は勿論、誰もが月奈が気持ちを押さえ込んでいるのは気付いているよ。誤魔化しの利かない気持ちは自然と周りも分かるものだからね」

(誤魔化しの利かない気持ち?)

館「あの子が月奈の師の家によく通っていたことは知っているだろう。あの子の我儘は月奈にとって迷惑だったかな?」

「…迷惑だなんてことは」

(姿が見られなくても元気でいることが分かるだけでも嬉しかった。でも本当は姿を見たかった。その我儘は皆に迷惑をかけるって思って…」

館「我慢は時に必要だけれど、し過ぎは体に毒になる。月奈自身の声をもう少し聴いてあげないとこの先も”後悔”ばかりが残ることになるよ」

「私自身の声を…」

お館様が目を閉じたのを確認してあまねが退室を促した。

あ「柱合会議の後、柱の方々とお話する時間を設けますのでしばらくここで待機をお願いします」

とある一室に通された月奈は、お館様との会話を思い出す。

「後悔のない選択…自分の声を聞く…」

胸に手を当てて目を閉じる。誰も居ない静かな空間で自分が後悔しない選択について少し考えてはみるけれど、自分の声を聞くことは正直恐い。

お館様が言う”我儘になる”ということが何を指しているのか分からない程鈍くはない、しかし正直になったところで今更何かが変わるわけでもないのだと諦めている。

(だから私は思い出だけで生きていくって決めたのよ。…でも、それも失くしてしまったんだわ)

結局見つけることが出来なかった物を思い悲しくなるが、見苦しく思い出に縋る月奈に天が諦めろと言っているのかもしれないと苦笑した。

「月奈様、じきに柱合会議が終了しますのでお部屋にご案内致します」

その声に月奈は目を開くとゆっくりと立ち上がった。
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