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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第23章 隠し事



鬼殺隊を抜ける時にお館様との間に設けた約束。一つは毎月の定期連絡を欠かさないこと、もう一つは呼び出しがあった際にはすぐに応じて欲しいこと。もちろん二つともが強制は出来ないと言われていたが、月奈にとっては願っても居ない約束だった。

「恩を仇で返すような真似をした私に、抜けた後も鬼殺隊との関わりを残して頂いた事は本当に感謝しています。そして鬼になった弟を苦しむことが無いように鬼殺して欲しいと厚顔無恥にも願ったことを叶えて頂けて…お館様をはじめ鬼殺隊の皆様のご厚意には感謝してもしきれません」

館「隊士達への感謝は直接言ってやってほしい、私は何もしていないから頭を下げる必要はないよ。これで鬼殺隊を抜けた原因は無くなったのだけれど、抜けたことに後悔があるならば…」

月奈はその先に紡がれる言葉に気付きゆっくりと首を横に振った。

「鬼殺隊に戻ることは出来ません。私が戻れば幾人にも迷惑をかけてしまいそうですから」

いくら弟が居なくなったからといって、鬼を家系から出してしまった事実は事実。そして、鬼殺した者からすれば自身が倒した鬼の身内が近くに居るなど気が気ではないだろう。

(恨んでいないだろうか、などと気にされることが安易に予想出来てしまうわ)

館「そうか、月奈に後悔が残らなければ私はそれで構わないよ。…後悔というものは厄介でね、私も今までに幾度となく後悔をしてきた。自分の采配一つで多くの隊士達の負傷を招いたことだってある、悔やんでも怪我が治ったりはしないし誰も私を責めなかったけれどね」

そうやって静かに語るお館様は昔を思い出しているのだろうか遠い目をしている。口元には自嘲の笑みが漏れているように見えた。

館「こうしておけばよかった、なんていう言葉は後にしか出てこないんだよ。後悔はずっと残る、それも辛い思いをして決意したものほど消えない後悔となる。こうしたい、と思って動いた時には後悔なんてほんの少ししか残らないしすぐに忘れる」

「辛い決意程後悔が残る…」

反芻するように呟いた月奈に、お館様は続けて聞いた。
後悔はないかと。
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