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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第23章 隠し事



翌朝は窓から射しこんだ日の光で目が覚めた。外を見てみれば晴天というわけではなく雲間から太陽が顔を出しては隠してを繰り返していた。

「今日は曇りかぁ、午後からは晴れるかしら…ふぁぁ」

昨夜はいつもの夢は見なかったが、あまりスッキリする夢見ではなかったのか月奈は欠伸をしてから出発の準備を始める。袴にブーツを履き周囲から見れば女学生のようだ。歩き易さ重視で悩んだ結果、これが一番楽だった。

(何よりいざという時に体を使い易いのよね。…身を守る武器なんてもうないけれど…)

落としてしまった物を探すため、早目に宿を出た月奈は昨日歩いた道の地面を見つめながら目的の物が見つかることを祈った。通りから外れると肩に乗った鴉が横から頭をつついて知らせてくれるので、街を抜けるまでは俯いていても大丈夫そうだ。

(いや、結構痛いからフラフラしてるとこめかみに穴が空きそうだわ。つつく力強すぎじゃないかしら…)

即座に考え直した月奈は自身の肩で羽を繕っている鴉にチラリと視線を向ける。鴉なんだから飛べばいいのに…なんて口から飛び出しそうになった言葉はかろうじて飲み込んだ。


今までは杏寿郎に抱えられて訪れていたお館様のお屋敷。道順も覚えられないように目隠しもしていた月奈は、自身の脚で歩いて周囲の景色を楽しみながらゆっくりとお屋敷に向かっていた。

「いつも森を抜けているような感覚はあったけれど、こんな景色が広がっていたのね。冬は大変そうね、今の私じゃたどり着けないかも」

鬼殺隊を抜けてからも長谷の道場を手伝っていたので体力や体術に衰えはない。しかし、隊服のような動きやすさの服は女性には必要が無いのか供給は少ないのだ。今日も本当は隊服のような衣類であればもう少し早く移動出来ただろうと思う。

「普通の女性は隊服のような被服は身に着ける必要ないからって分かっているけれど、道着では街を歩けないし何か西洋の衣類で良いものが無いのかしら」

ブーツも慣れるまでは靴擦れが起きたりして大変だった。しかし今では重宝している、なにせ多少の背の高い草が生える道なら気にせず歩けるからだ。草鞋では草が足にあたってかぶれたりと困ることも多かった。

(それに可愛いのよね。洒落ているって素敵だわ)

「んぎゃ!…いたた」

鴉「ミチ、チガウ!オマエハドコニイクンダ!」
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