第4章 行く先
(…思ったより静かに寝るんだな…、普段の賑やかな感じからすると、いびきとか掻くのかなぁと予想していたけど)
まじまじと覗き込んで失礼なことを考えていると、突然煉獄の目が開いた。
煉「む!水橋少女?えらく近いな、俺の顔に何かついているか?」
「うわぁぁぁぁ!!!?あいたっ!」
驚いて後ろに下がったところで、傍らの椅子に躓き尻餅をついた。心臓はバクバクと鳴り、驚きの度合いを語っている。
(間近で突然あの目が開くのは心臓に悪い!!こわすぎる!!)
煉「…大丈夫か、水橋少女?」
大丈夫です。とうなだれて答える月奈は胸に手を当てて深呼吸をする。その手に貼られた絆創膏には血が滲んでいた。
煉「よもや!胡蝶!水橋少女がケガをしてしまった!」
「ちょ…!煉獄様…!!?」
すまん!と煉獄は月奈の両脇に手を差し込んで持ち上げ、しのぶを呼ぶ。
高い高い、のような状況となり月奈は羞恥に顔を真っ赤にして涙目になっていた。
煉「暴れると取り落としてしまうぞ!大人しくしていなさい!」
し「煉獄さん…その体勢は15歳の月奈には可哀そうでは?…あぁ、以前ガラスで切った傷が開いたようですね。小さい開きなので、消毒だけしておきましょうか」
抱きあげられたままの月奈の手を診察して、しのぶは薬瓶の戸棚に向かっていった。
「あの…おろしてください…」
歩けますから、と小さく呟く月奈の顔は真っ赤なままだ。
煉「よも!!確かに女性にする行動ではないな!反省しよう」
ストン、と月奈を下ろして腕を組んで大きな声で笑う煉獄は、この後「声量は下げてくださいね」とピキピキ青筋を立てたしのぶに怒られていた。