第4章 行く先
そういえば…とカナヲは呟く。
カ「煉獄さんが診察室に来てるみたい。師範が月奈を呼んできてって言ってた」
「診察室?煉獄様ケガしたの??」
ふわりとカナヲは微笑んで、行こう。と月奈の手を引く。
(ケガしてるのかそうじゃないのか…どっちよ…)
心の中でツッコミながらカナヲについていく。
聞いても微笑みが返ってくるだけだろうと予想ができた、出会ったのは数日前だが、不思議とこのカナヲの物静かさは慣れれば心地よかった。
(慣れるまではちょっと、どうしようってくらい会話に困った記憶しかないけど…病室に来てくれたりなんだかんだ世話してくれたもんね)
そんなことを考えていると、いつの間にか診察室に到着していた。
カ「師範、月奈をお連れしました」
どうぞ、と室内からしのぶの声が聞こえる。
扉を開くと、ツンと鼻につくような病院特有の匂いがする。室内の戸棚には薬瓶が整然と並んでおり、ぐるりとカーテンが引かれている一画は触診用のベッドがあるのだろう。
診察机で書き物をしていたしのぶは、入ってきた月奈に向き直り微笑んだ。
(あれ?煉獄様は…?)
し「月奈さん、こちらへどうぞ」
手招きして、しのぶの前に座らせる。
入口からまっすぐの位置に置かれた、普段は患者さんが座る椅子に座りキョロキョロと辺りを見回す。その様子を見て、しのぶはクスリと笑って月奈の顔を覗き込む。
からかうような、いたずらを楽しんでいるような微笑みは月奈をドキリとさせた。