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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第20章 遭遇



別に一刻も早く戻れなど言われていない月奈は、これからどうしたものかと林道を歩きながら考えていた。

「徹夜に近かったから帰ってお昼寝…でも家事のお手伝いもあるわね。夕暮れまでには戻らないと…」

空を見れば、まだ太陽は頂点には昇っていないようだ。朝餉を食べてすぐに出発していることを考えれば、今の時刻は昼餉時頃と予測できる。
街を散策してから帰っても時間の余裕はあるだろう、そう思い付いた月奈は自身の格好を見て「う~ん」と唸った。

(隠の隊服では目立ちすぎるのよね、先程蜜璃さんと街を抜けた時の視線が凄かったものね)

隠の隊服だけが原因とは言えないが、視線を向けられた一因であることは間違いのない恰好。しばし悩んだが結局の所、さっさと帰る一択になるのだった。

(もしかしたら夜に任務が入るかもしれないし、さっさと帰って少し休もう!)



一時間後…

「迷った…」

小芭内の屋敷へ向かう地図を広げ月奈は呟いた。眉根を寄せ自分が歩いてきた道を思い出すが、逃げるように小芭内の屋敷を飛び出した、その時に方向の確認はしていたかどうか…

「門から出たんだもの、間違えるはずが無い…はず」

自分の行動に自身を持てなくなり語尾は小さくなっていく。その呟きを聞き届けるのは周囲に生い茂る草木のみだ。

目印になるものが無いかと辺りを見回すが、ここは林道。同じ景色が続くばかりで目印などあるはずもない。

(まだ日中とは言え、林道が暗くなるのは早い。だからこそ早く抜けておきたかったんだけれど…)

いくら考えても仕方の無い事かと地図に再度目を落とす。それ程複雑ではないはずだが、行きは蜜璃が一緒に居たし周囲の景色を見ている訳ではない。行きの時点で何か気になる目印でも見つけていたならば今こうして迷う事もなかっただろう、そう考えると気が緩んでいた自分を悔やむばかりだ。

「いくら蜜璃さんと一緒とはいえ、あくまで任務だったのに。これではただの役立たずだわ!しっかりしないと」

帰るまでが任務!
自身にそう言い聞かせた月奈は地図を仕舞うと、登れそうな樹を探しながら目の前に続いている林道を進むのだった。


一方その頃、槇寿郎の元には一羽の鴉が到着していた。
脚から文を外して開いてみれば小芭内からの丁寧な感謝の言葉が綴られている。

槇「ん?」
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