第20章 遭遇
蜜「だって、目が冷たかったわ。月奈ちゃんは良い子なのにどうして?」
小「別に嫌っている訳ではない。一般隊士として扱っただけだが?」
小芭内は当然のように答えたが、別に嘘を言っている訳ではないのだ。ただ、蜜璃以外の女性に然程関心がないだけ。
それが蜜璃の目には冷たく映ったのだろう。
小「ただ、隠には宿舎があるというのにあの女は煉獄家に居続けているというのはどうかと思うがな。継子ならまだしも...」
ー継子であっても甘露寺と煉獄が一緒に暮らして居たのは未だ理解できんが。
蜜「月奈ちゃんを宿舎に入れずに引き取るって名乗り出たのは師範だけじゃなかったのよ?しのぶちゃんも宇髄さんも名乗り出ていたみたい」
ー宇髄まで...
小「水橋は女だろう。未婚の男女が一緒に暮らすなど問題ではないのか?」
その言葉には先程の冷たさは無く、ただただ心配するような響きが含まれていることに蜜璃は気付きホッと胸を撫で下ろした。
小「それに、煉獄家はホイホイと人を受け入れ過ぎじゃないか?あの家は大丈夫なのか?」
かく言う小芭内も過去に煉獄家にて一時的に保護されていた。実家で化け物の生贄として生かされていた小芭内を救ったのは当時炎柱だった槇寿郎だ。何も信じられず、人と関わることを避けていた小芭内が鬼殺隊に入ったのは煉獄家の影響だった。
蜜「人という存在が好きなんでしょうね。煉獄家に救われた者同士仲良くなれると思うけれど」
救われた者同士、確かに境遇に差はあれど鬼によって日常が奪われ炎柱に救われたことは同じだ。出された茶菓子を美味しそうに頬張る蜜璃に小芭内は先程月奈が届けた小包を差し出す。
私に?と首を傾げた蜜璃は、頷いた小芭内から小包を受け取ると蓋を開いて目を輝かせた。小さな箱の中には色とりどりの金平糖と花を型どった落雁が宝石のように綺麗に詰められている。
小「街の和菓子屋の新作だそうだ。槇寿郎さんに紹介して貰っていたが柱としての任務に忙しい俺たちに行く暇が無いことを気にかけてくれたみたいだ」
蜜「伊黒さんも槇寿郎様もあまり甘い物食べないのに、私より甘味に詳しくて驚いちゃうわ!」
暫く箱を見つめていた蜜璃だったが鑑賞に満足したのか、折角だから一緒に食べましょうと小芭内に差し出し微笑む。
もちろん大半は蜜璃の胃袋に入ることになった。