第20章 遭遇
蜜「月奈ちゃん、着いたよ!」
ここが蛇柱様のお屋敷かぁ、なんて見上げていた月奈は隣でソワソワしている蜜璃に目を向ける。普段ならば蜜璃自身で門を開けて入って行くのだろうか、月奈の隣に立つ蜜璃は門に手をかけては離し手をかけては離しと動作を繰り返すばかり。
「あの、私が居るからと言って普段と違う行動をしなくても大丈夫ですよ蜜璃さん?」
蜜「え!?ち、違うのよ月奈ちゃん?その...約束したのに後にした約束の方を優先しちゃったことについ、怒っちゃって」
(あぁ、文で恨み言の一つや二つ言ったのかしら。ということは、蛇柱様はご機嫌斜め...)
帰りたい。月奈がボソリと呟いた瞬間、聞き届けたかのように門が開く。蜜璃とともに視線を向けるとそこには...
隠「恋柱様こんにちは。えぇと、あなたが煉獄家からの御遣いですか?」
スラリと背丈が伸びている男性隠が蜜璃に頭を下げてから月奈をチラリと見る。男性隠の所作を見る限りお屋敷への出入りに慣れている様子だ。
「はい、煉獄槇寿郎様から蛇柱様へ品物を預かって参りました!」
先輩隠だろうと予想がついた月奈は、地面に膝を付け頭を下げると端的に用件を述べる。蜜璃は「こんにちは...」と見つかった事に対して気まずそうにしている、隠が出迎えたということは小芭内が門の前に二人が居ることに気付いていたということなのだ。
早く入って来い。と言う声が聞こえそうな二人は客間へと通された。
小「甘露寺、すまなかったな。煉獄家から鴉が来ては断れなくてな」
客間に入ってきた小芭内の第一声は甘露寺への謝罪もとい言い訳だった。
蜜「こちらこそごめんなさい。結局お邪魔しちゃって」
(お邪魔と言えば私よね)
二人が話している間、月奈は頭の中で自分に突っ込んでいた。そうでもしないと二人の謝り合戦を延々と聞いていなければならないからだ。
小「水橋と言ったか。煉獄の所で世話になっている稀血だな」
「はい。水橋 月奈と申します」
小芭内の問いかける声は、頭を下げたままの月奈にヒヤリと降ってくる。あまり良く思われていないのだろうと予想していたので、気にしないように任務に集中する。