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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第19章 前進と後退



「いえ、自分がいかに軽率な行動を取っていたか分かって恥ずかしい限りです。失望なんて…」

(寧ろ私のほうが失望されて当然じゃない、自分は異性と触れ合い杏寿郎様にはそれを許さないなんて)

ー赤くなったり青くなったり百面相だな。これは面白い。

杏寿郎はじぃっと月奈を観察しながら、笑いをかみ殺している。どうやら目の前の十五の少女は今日清花と会ったことで何か思う所があったようだ、それは自分にとって良い変化かもしれないと杏寿郎は確認するように一つ問うた。

煉「悋気を起こしたか、俺と清花に?」

一歩また一歩と月奈に近付きながらも、表情の変化を見逃すまいと杏寿郎の視線は月奈に向けたまま。俯いている月奈の頬が紅潮している、それは「YES」と答えているようなものだ。

「杏寿郎様が清花さんの腰に手を回していました。あの場面でその動作は必要では無かったのではないかと…。清花さんもあんなに杏寿郎様に近付かなくても…」

煉「なるほど、それで?」

座っている月奈の前にしゃがみ込む。杏寿郎は頭を撫でた手をゆっくりと頬へと滑らせていくと月奈が顔を上げた。その表情は怒っているような睨むような、悋気を露わにしている。

その表情を見た杏寿郎の唇は弧を描き、心なしか楽しそうでもある。

嫌われたくない、けれど少しは気にして欲しい。矛盾している気持ちをぶつけるように杏寿郎の着物を掴んで引き寄せる。

「私に触れて良いのが杏寿郎様だけなら、杏寿郎様に触れて良いのも私だけです!たとえ清花さんでも触れちゃ駄目なんです」

煉「…肝に銘じよう」

独占欲を隠そうとしない月奈の発言に杏寿郎は嬉しくなる。今まで何事からも一歩引いているような、自分の我儘を表に出さないよう心掛けていた月奈が自分のことでこれ程に感情も露わに我儘を言っているのだ。

ー今より少し先に進むのは許されるだろうか

頬に触れていた手に少し力がこもり顔を近づけた杏寿郎。
久しく触れていない唇に早く触れたい、逸る気持ちを抑えながらもゆっくりと距離が狭まっていく。あともう少しで触れられる瞬間。

「もうこんな時刻!さぁ休みましょう!」

杏寿郎をひらりと避けた月奈は、足早に部屋を去って行った。後には茫然とした杏寿郎が部屋に残されるだけだった。
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