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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第19章 前進と後退



清「旦那様、ちょっとお耳を…」

そう言って清花が杏寿郎に顔を寄せ耳打ちをする素振りを見せると、ハッとした表情になった月奈が慌てて清花の両肩を掴んだ。

「き、清花さん!?何をしているんですか?」

清「…藤葉ちゃん、もしかして無自覚なの?」

「え?無自覚って何がですか?」

目の前でコソコソと繰り広げられる女子の話に、杏寿郎は「?」という表情で首を傾げている。耳を貸してくれと言われた途端に月奈が清花に飛びついたのだ、意味が分からないのは当然だろう。

清「藤葉ちゃんが心配するようなことは無いと思うんだけどなぁ…」

「心配???」

清「だって旦那様は藤葉ちゃん一筋なんでしょう?藤葉ちゃんが悋気を起こすような必要は無いと思うんだけれど」

悋気?と月奈は呟いて動きを止める。その姿に清花は「本当に気付いていなかったのね」と驚いた表情になる。

煉「清花、月奈、少し二人で話していてくれ」

二人が杏寿郎に目を向けると、窓の柵に一羽の鴉が止まっていることに気付く。こんな夜の途中で任務が来ることは珍しい、応援依頼だろうか。月奈は少し顔が曇った。

煉「…心配するな!上に客が来ているみたいでな、少し話してくる」

「客?」

清「旦那様はお忙しい方ね。藤葉ちゃんも忙しい中会いにきてくれて嬉しいわ」

杏寿郎が出て行った窓を見つめていた月奈は、清花の言葉に今日ここに来た理由を思い出し向き直った。ただ会いに来たわけではない、それに杏寿郎が居ない今だから話しておかなければならないこともある。

「清花さん、実は相談があるの。聞いてくれますか?」

途端に真面目な表情になった月奈に、清花は華が綻んだように優しい微笑みを返した。




煉「今日は任務が無いのか?朝霧少年」

屋根に上がると、隊服姿の雅雄が杏寿郎を待っていた。窓の外に居た鴉は雅雄の肩に止まり羽を繕い始めている。

雅「炎柱様。お呼び立てして申し訳ありません」

煉「いや、構わん!席を外す頃合いを見計らっていたところだったから丁度良かった」

雅雄と杏寿郎が対面するのは、無限列車での任務後に入院していた時以来だった。比較的軽傷だった雅雄は早くから任務に復帰していたが、隊士の間で囁かれていた事がずっと気になっていた。
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