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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第18章 任務



槇「…?どこの子供だ?」

居間に飛び込んで来た月奈を見て槇寿郎は更に眉を顰める。背丈は子供のようだが、声は月奈そのものなのだ。しかも隣に座っていた千寿郎は月奈と言っている。

「槇寿郎様!帰還の報告が遅くなり申し訳ありません!それと、私は月奈です!」

槇「ケガの次は血鬼術にかかったのか!?月奈、お前は本当に隠か、前線には立たないはずだが?」

呆れ果てた表情の槇寿郎に、廊下で正座をして頭を下げる月奈。傍から見れば奉公人を虐めているように見える。槇寿郎は溜息を吐くと中に入れと手招きをして月奈を呼んだ。

千「ち、父上…月奈さん、連日の任務だったのでゆっくり休んだほうが良いということで食事の声掛けも行っていません。昼餉の時間は過ぎてじきに夕餉の時刻ですが、お腹が減ってはいませんか?」

「全て私自身の気の緩み、弁解の余地もありません槇寿郎様…。夕餉の時間…そんなに眠りこけて…」

机を挟んで向かい合う槇寿郎と月奈の間に流れる空気は複雑だ。千寿郎はなんとか空気を換えようと話しかけるが月奈はどんどん落ち込んでいく。

千「そ、そういえば!その背丈で着られる着物を持っていらっしゃったのですね?どなたかからお借りしたのですか?」

「あぁ、これは先日生家に寄った時に持ち帰ってきた物です。思い出として持ち帰ったのですが、まさか使うことがあるとは思いませんでした」

人間ならば背丈が伸びることはあれど縮むことは無い。齢を重ねれば別の話だが、十五はまだまだ成長の余地がある齢だ。幼い頃に買って貰った着物を着ていることが不思議で、なんだか昔に戻ったような気分になる。

(一等お気に入りだった着物だったのよね、この柄に一目惚れして反物をねだったことをまだ覚えてる)

自分は姉だと自身を律して生きるよう努力していた月奈が強くねだった物。その姿は両親の目にとても珍しく映ったのだろう、すぐに着物屋に仕立てをお願いしてくれた。

千「なるほど。血鬼術が解けた暁には、その着物は綺麗に洗濯をして大切に保管しましょう」

嬉しそうに笑った月奈は、血鬼術の影響かとても幼く見えた。千寿郎と槇寿郎は十五の姿の月奈が随分と大人びていたことに気付き、少し複雑な気持ちになる。
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