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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第17章 生家



家を襲撃されてから、逃げ惑った時間の詳細はあまり覚えていない。そんなことを考えられる程の余裕はなかった。

(でも私が逃げ続けられる時間なんてそれ程長くない。襲撃されてから指令が入ったならば到着が随分と早いわ。ましてや家や街に近い場所での任務だったならもっと到着が遅くなっていたはず)

煉「あの日は前日の任務で負傷した体を温泉で回復していた。冨岡も前日は一緒の任務だった!」

「なるほど!だから到着が早かったのですね!」

そう話しながら月奈は、生家の門をくぐる。しばらく人が入っていないからだろうか、門から玄関に続く道には草が根を張り始めている。

家の中は、事前に隠達があらかた片付けてくれていると聞いていた。しかし記憶にある家の惨状が思い出されてしまい玄関の扉に手をかけたまま、記憶を散らすように頭を振る。

煉「行きたいと言っていたから連れて来たが、無理はするな。ここにはいつでも来られる」

「いえ、大丈夫です。確認したいこともありますから」

(そうだ、感傷に浸る為にここに来たんじゃないわ。庭と部屋を確認しなきゃ)

心配する杏寿郎にしっかりと頷いて見せた月奈は、玄関の引き戸を開いた。目の前に広がったのは、生活していたままの綺麗な玄関だ。

「本当に片付いてるのですね。血痕も何もかも…」

閉め切っていたからか、少し湿気が篭ってはいるが襲撃前の家の中と変わりが無いことに月奈は驚く。惨状を考えれば取り壊した方が良いのではないかと考えていた生家だったが、これほど綺麗にされているならば惨状を知らない人間ならば喜んで住むだろう。

少し埃が被り始めた廊下を進めば庭があるが、今は雨戸がしっかりと閉められている。その為、物盗り等に侵入された形跡はない。

「この家はどうなるのでしょう。鬼に襲われた家ともなれば取り壊されるのでしょうか?」

襲われた原因の稀血は居ない。そうなれば藤の香を焚けば鬼避けになるだろう、しかし惨劇が起こった家ともなれば縁起が悪いことは分かる。

(でもどうして私がここに来るまで残っていたんだろう?すぐに取り壊されてもおかしくないはずなのに)

煉「そうだな!住む人間が居なくなれば家は廃れる、その前に取り壊すのが最善だ!しかし、この家の住人だった月奈が生きている以上は月奈の許可無しに何も出来まい」
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