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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第16章 回復



「これなら、冷えも少ないですよね。貸切で良かったです!」

そう言って微笑んだ月奈に杏寿郎は頷く。行灯に照らされた温泉に二人並んで浸けた脚は外気温との差で赤みを増している。

煉「これは確かに温まるな!それにゆっくり話せそうだ」

「足湯、と言って寝付きが悪い時等に効果があるようです。足には太い血管があるので全身が温まると聞きました」

良く知っているな!と頭を撫でれば、月奈は蝶屋敷で聞いたと話す。自分の寝付きが悪かった時にたらいにお湯を張って揉んで貰ったことを思い出したのだと。

煉「なるほど。さすが胡蝶だな!…さて、話したい事や聞きたいこと、とは何だ?」

足の温かさにホワホワしていた月奈は杏寿郎に聞かれてハッと意識を戻す。聞きたいことがあると言ったのは自分だ、それを忘れるとは…と乾いた笑いが出る。

「今日の柱合会議なのですが…」

煉「俺と宇髄の今後のこと、か!結論から言えば、宇髄は柱を引退する。俺は一旦は柱のまま様子見とお館様から話があった」

腕が無ければ刀を振れまい。そう言った杏寿郎の表情は少し寂しそうだ、柱として切磋琢磨してきた一人を失うということに何か思うことがあるのだろう。

(私には知ることが出来ない思い出もあるだろうし、天元様とも仲良くされていたことを考えれば寂しいと思うのも当然なんだろうな)

「杏寿郎様は〔一旦〕なのですか?それは、柱として任務をこなせるか見極める、ということでしょうか?」

煉「それも勿論だが、炎柱の継子が居ない状況で空席にすることは隊の士気を下げてしまうのではないかと意見が出ていたようだ!炎の呼吸を会得する継子が居ないことは気になってはいたが…」

弟の千寿郎は日輪刀の色が変わらなかった。それは極めるべき呼吸が無いということ。

以前、その話を杏寿郎から聞いたことがあった。炎柱を歴代輩出している家系に生まれながら、呼吸を継承出来ないということに千寿郎はどれほど苦しい思いをしたのか計り知れない。

「私に剣技の才の一つもあれば…」

ポツリと呟いた言葉に杏寿郎は苦笑する。

煉「継子は無理に作るものではない。煉獄家の歴史に傷がつくことかもしれないが、仕方の無いことだ!それに、月奈を初めから剣士として育てるつもりは無かったからな!」
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