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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第16章 回復



煉「もっと強く打ち込んでも構わないぞ!三人でかかって来るならそれぞれの長所を活かして俺から一本を取るように集中しろ!」

三人で打ち込む竹刀を捌きながら、各々の隙に切り込む様に軽く打っていく杏寿郎は至って冷静に鍛錬を行っている。左側は死角になり易いはずだが、身のこなしでそれを補っているのだろう。

(荒々しい三人の剣技も凄いけれど、受け流し捌いていく杏寿郎様の剣技も綺麗)

一際大きな竹刀のぶつかる音がして、月奈は思考から現実に戻る。三人の竹刀が杏寿郎の頭を狙ったのだろう、一本の竹刀で頭上で三本の竹刀を受け止めている杏寿郎が「少し休憩だ」と言うと三人は息を吐いて床に座り込んだ。

煉「月奈、中においで。君も鍛錬をしよう」

「えぇと…剣術は分からないのですが?そもそも私は片腕で何の鍛錬を?」

入口に顔を向けた杏寿郎は手招きする。全然軽度ではない鍛錬を目にした月奈の口から出た疑問は当然の物だ。

煉「君に剣技は必要ないとお館様から言われているだろう!鍛錬すべきは君の戦闘方法である体術だ」

「…あの、片腕ですが?」

再度片腕であることを強調した上で、吊られた腕を指差す月奈に杏寿郎は「問題ない!」と頷く。

煉「左腕はそのまま固定、使用は禁止だ。肩の傷に障るからな!右手・両足の使用のみで組手を行う」

「はいぃ!?相手は…」

煉「俺を含め、床に座り込んでいる三人が相手だ!」

(絶対、軽度の鍛錬じゃないよコレ…)

片腕を吊った女相手に組手をするなんて、とでも言いたげな三人の表情に我が事ながら共感する。しかし、杏寿郎がそう指示したということはそれが〔出来る〕ということに他ならない。傷が開けばしのぶに怒られることは確実ではあるが、治療は迅速に行われる。多少の無茶ならば利くというところか、と月奈は考えることを諦めて息を整えた。

「では、よろしくお願いします!」



し「随分と鍛錬されたようですね煉獄さん。私言いませんでしたか?お手柔らかに、と」

様子を見に来たしのぶは、疲弊しきった四人の隊士を見るなり溜息をついた。鍛錬が終わる頃合いだったのか、四人は杏寿郎の前に正座し頭を下げている。炭治郎と伊之助は頭を上げたが、善逸と月奈は頭が下がったまま上がる様子が見られない。
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