第15章 覚悟の始末方
し「月奈は煉獄さんの屋敷に戻りたがっていましたが、このまま入院になります。熱が下がれば退院は可能ですが、患部の治療はしっかりご自宅でもして頂く必要があります」
煉「女手がないこちらでは些か難しいだろう。治療自体は教えて貰えれば出来るとしても、女人の肌を見るわけにはいかん!蝶屋敷で治療を受けるのが最善だな!」
うむ!と頷いた杏寿郎は少し寂しそうな表情を見せる、帰りたがる月奈を帰らせてやりたいのはしのぶも同じ気持ちだ。けれど、高熱で動けなくなってしまった以上蝶屋敷から移動させるのは月奈の体の負担になるだけだ。
し「では、煉獄さんが帰る前に一つだけお願いが。月奈を病室まで連れて行ってください」
煉「うむ、承知した!」
蒼「月奈お嬢さん」
「蒼樹!今日はお手伝いの日?」
廊下を歩いていた月奈は蒼樹の声に振り向くと、いつものように微笑んだ。しかし、立っているのは蒼樹のみ、父親の姿は無い。
蒼「今日は違います。月奈お嬢さんとお話したくて遊びに来てしまいました」
ニコリと微笑む蒼樹に、月奈は疑問を抱くこともなく庭に面する縁側にお茶を準備する。今日は両親が街へ出掛けており屋敷には弟の月哉と二人だけだった。よく考えれば両親が居ない日に植木屋が出入りすることはない、でも稀血であることで一人での外出は認められず暇を持て余していた月奈は特に疑問を持たず受け入れた。
「遊びに来てくれて嬉しい!」
(この日、蒼樹を受け入れなければ今はなかったのかな。私が愚かだったのかな)
もう見たくない。この後起こることは分かっている。知っている。
(もういい。過去を回想して何があるの!)
蒼「僕を忘れないでくださいね。ずっと想っていますよ」
突然、抱えた月奈の体がビクリと跳ね上がり杏寿郎は慌てて抱え直す。
煉「っと!月奈?」
し「…月奈…?」
目いっぱい見開いた瞳はただ天井を写し、口から言葉が零れ落ちる。
「…蒼樹…っう”」
首を切った感触を思い出した月奈は、胃からせり上がるものを押さえ込むように口を押えたが、手から零れた胃液が腹部を濡らしていく。
し「月奈!煉獄さん、すみませんがそのまま湯殿へ運んでください!」