第3章 崩壊
ア「稀血…ですか…どうしてそれを知っているのですか…」
稀血といえば、鬼殺隊の柱にも一人いる。鬼にとっては稀血の人間1人で、数百人を喰うのと同じように力を補えるもの。それ故に狙われやすい。
”好物”まさにそれだ。
「幼い頃から言い聞かせられていましたから。鬼が出てくる夜は出歩いてはいけない、ケガをしたらすぐに屋敷に戻ること、それに…私だけは藤の花の匂い袋を持たされていました」
それもあの夜落としてしまった。
屋敷の庭には藤の花があったが、数日前から病気にかかったのか枯れていくところだった。
運が悪く、あの夜に庭の藤の花は完全に枯れてしまった。翌日には新しい藤の花が貰える手配はしていたが、一晩を藤の花無くして越えることはできなかったのだ。