第15章 覚悟の始末方
し「さて、何故隠の月奈がここまでのケガを負ったのか教えて頂きますよ、宇髄さん」
診察室の外では、天元とともに嫁三人も控えている。最初からしのぶが出てくるのを待っていたのだろう。天元はゆっくりと頷いた。
宇「今回の事は、月奈が自分で鬼に突っ込んでいったわけじゃない。だからあまり月奈を責めるなよ胡蝶」
五人は診察室にほど近い病室に移動していた。月奈を襲った鬼についてどこまで話すか天元は迷う、遊郭に潜入した時に起こった事から遡ることになる上に月奈にとっては触れられたくない部分を伝えることになるのだ。
清花と杏寿郎、天元だけが知っている月奈の過去。
宇「俺から話せることは少ない。月奈の事情に簡単に触れることはしたくねぇ、関係者が揃ってから話をしたい。煉獄がもうすぐここに来るはずだ」
し「煉獄さんに鴉を飛ばしたのですか?月奈は嫌がってましたが、いいのですか」
どれだけ怒っていても、やはり月奈が可愛いしのぶは杏寿郎の怒り度合いを心配してしまう。
宇「今回は事情が事情だからな、煉獄も月奈には怒らねぇと思うぞ。それに月奈を襲った鬼は俺や煉獄も見知った奴だ、そっちに対する怒りが強いだろうな」
し「鬼が知り合い?それは…」
どういうことか問おうとした時、廊下が賑やかになった。アオイが何やら話しながらこちらに向かってくる足音を聞いたしのぶは扉を開き外を覗く。
ア「しのぶ様!炎柱様が…!」
し「煉獄さん、静かにしてください!こちらにどうぞ。…アオイごめんなさいね、少し月奈の様子を見てきて貰えますか?治療した状態そのままですから整えてやってください」
アオイはしのぶの姿を見つけあからさまにホッとした表情になる。きっと柱である人間に強く注意できないながらも、他の患者に対して気を遣って止めようとしたのだろう。
ーアオイには可哀想なことをしてしまいました。後で謝らないと。
煉「宇髄!胡蝶!月奈はどういう容態だ!」
し「後でご自分の目で見て頂きますが…鬼に一部肉を抉られ、今は発熱で休んでいます。まずはこちらに状況説明をお願いしたいのですが?」