第15章 覚悟の始末方
小「ただでさえ煉獄があのような状態になって炎柱の席が空きかねんのだ、お前も死ぬまで戦え」
蛇に気を取られていた月奈は、小芭内の口から出た杏寿郎の名前に目を伏せる。
(やはり柱を引退することになるのかしら…)
小「ん?鏑丸、どうした…なんだ隠の女。さっさと事後処理をしろ、終わらなければ帰れんだろう」
「う、はい!」
小芭内にジロリと見つめられ月奈は姿勢を正して返事をするや否や、他に怪我人が居ないか探しに走り出した。
宇「あ、おい月奈!…伊黒、あいつは派手に重症だから勘弁してやれよ。それに柱合会議で言われている〔稀血の娘〕だぞ」
小「あれが?稀血だというのに、あれだけダラダラと血を零して何を考えているんだ。そもそも隠があんなケガをするような仕事をしていた貴様の責任だ」
ネチネチと責め立てる小芭内に宇髄は「わかったわかった!」と話す事を放棄して、蝶屋敷へと足を向けた。
宇「ようやっと夜明けかよ。派手に疲れたなぁ!」
し「あら、このケガは中々…」
「どれくらいで塞がりますかね?とにかく血に気付かれないように保護できれば有難いのですが。痛みは我慢しますので…いえ、すみません」
そういう話ではありませんよ?と額に浮き出た血管をピキピキ動かして微笑むしのぶを見て、つい謝ってしまう。
し「気付かれないように、というのは煉獄さんにでしょうか?どう頑張って隠してもこれは分かると思いますよ」
「う”…。でも体を見られることはないですし、服で隠れる場所ですから隠し通せるはず…」
しのぶは溜息をついて月奈の額に手を当てる。頬の上気と呼吸の浅さから察するに熱があるのだろうと思っていたが、予想通りだった。
し「これだけの傷であれば、熱が出ることも致し方ないことです。これを隠し通せると思いますか?」
熱が出ていることは薄々分かっていたが、認知すると更に酷くなるような気がする。
し「これは煉獄さんにお知らせします。家に戻るにしても看病をお願いしなければいけないでしょう。入院も嫌、連絡も嫌ではただの駄々っ子です。少し煉獄さんに怒られたほうがいい薬かもしれませんね」
そう言って診察室を出て行ったしのぶは恐らく杏寿郎へ鴉を飛ばすだろう。