第15章 覚悟の始末方
(血が止まらない…少し抉られた。日輪刀が無いと鬼を殺せない。誰か…隊士を探さなきゃ!)
恐怖で息が上がる。呼吸が整わない。
しかし今は震えている場合ではない、月奈は細く息を吐いて外を伺う。近くで音が二つ聞こえた月奈は窓から外へと飛び出した。
炭「月奈!?」
「炭治郎様!すみません、日輪刀を貸していただけませんか!」
声のした方を見ると禰豆子が炭治郎を背負ってこっちに向かってきた。背後からは蒼樹が追ってきている気配を感じる。
(稀血が近くに居ること自体禰豆子ちゃんには良くない。すぐに終わらせてここを去らないと)
炭「日輪刀を?え?」
刀を借りるなんてとても失礼なことだと承知の上で、月奈は炭治郎の腰から鞘ごと刀を抜いて蒼樹に向き直る。
炭「まだ鬼が残って…!!?」
刀など扱い方の詳細など知らない月奈は、一撃で首を落とせるはずがない。初めて持つ真剣の重さに手が震える。
(自分の刀の振る速度なんかたかが知れている。その前に刃を折られるかもしれない。…ならば)
鞘から刀を抜いて、向かってくる蒼樹に対して片腕を伸ばす。
「…っく!」
腕に噛みついた蒼樹の首めがけて刃を振り下ろした月奈は、片手で刀を振りぬくことが難しいことに気付く。刃が途中で止まってしまう、これではただ腕を喰われるだけだ。
(早く首を落とさないと…!でも力が入らない…)
その瞬間、刃が一気に首に入り切り落としていた。刃が持って行かれる衝撃に月奈は痺れる手で刀を飛ばさないように握力を込める。横には禰豆子が立っている、その脚が刀を蹴って首を切ったのだ。
蒼「月奈お嬢さん…僕を忘れないでくださいね。ずっと想っていますよ」
腕に噛みついたまま笑う蒼樹の体はボロボロと崩れ、風に飛ばされていく。絡みつく残りを振り払うように腕を振り、刀を納めると月奈は刀を炭治郎の腰に差し直した。
「炭治郎様、不躾な事をしました。どうかお許しください。禰豆子ちゃん助太刀ありがとうございます」
炭「今の鬼は知り合いだったの?大丈夫?」
大丈夫です。と苦笑した月奈は、ふと気付いたように炭治郎を見る。
「炎柱様にはこのケガのこと黙っておいてください!お願いします!」
炭「え!?隠せるケガじゃないだろう!」