第14章 未知*
千「あぁ、確かに沢山貰ってますね。月奈さんは知っていますか?」
「何を?」
柱のお給金について、と言われ月奈は首を傾げる。そういえばそんな話はしたことがない。
千「煉獄家は父上も柱だったので聞いたことがあるんですが、柱のお給金は無限、だそうです」
「…無限?え?無限!?」
苦笑して頷く千寿郎も、話を聞いた時には月奈と同様の反応をしていたことを思い出す。きっと誰が聞いてもこの反応になるだろう。
千「ちなみに、お屋敷も貰えるそうです」
(そんなに何でも買える人達に御礼なんて、何をどうしたらいいんだろうか…)
「柱ってすごいのね。うーん、御礼どうしようかしら…」
千寿郎から聞いたお給金話によって月奈は増々悩む結果になってしまった。しかし落ち込んでいられない。
(せっかく街に来たのだもの、色々な店を覗いて参考になりそうなものがあればいいけれど)
千「あ、焼き芋!そんな季節になったんですね、糖度の高いさつまいもがお店にあったら買って帰りましょう!」
千寿郎が屋台で出ている焼き芋屋を見て嬉しそうにはしゃぐ。月奈はふとその屋台の隣の店が目に入り「あ」と声を上げた。
「千寿郎さん、槇寿郎様はお酒を飲まれるんでしたか?」
千「はい、俺が幼い頃に飲みすぎで一度お酒を断ったようですが。今は晩酌程度であれば飲んでも良いとお医者からも言われたようです」
月奈はまだ十五だ、お酒の知識は全くと言っていいほど無い。それに加えて、槇寿郎が飲んでいる所も見たことが無いのでどのようなお酒を飲んでいるかも知らない。
店主に聞けば良いお酒を知ることが出来るだろう、そう思った月奈は酒屋へと足を向けた。
千「ただいま戻りました!」
槇「街へ出ていたのか?杏寿郎が驚いていたぞ、起きたら居なかったと」
「書置きは残したはずなのですが、気付かれなかったのでしょうか。お話してきます」
買ってきた物を自分の部屋に置いてから杏寿郎の部屋に行くが、声をかけても反応が無い。いつもならすぐに返事があるのに、と不思議に思い襖を開いたが誰も居ない。
「…?」
部屋には居ない、居間にいるなら千寿郎あたりが呼びに来てくれそうなものだ。そうなれば残る場所は二つ、道場か中庭か。
「どちらも方向は一緒か、とにかく見に行こう」