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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第13章 気付き



煉「十分?何がだ?」

「…そ、れは…杏寿郎様に触れて頂けたことです。任務であれば、この先を気にする必要もありませんから…杏寿郎様に気を遣わせることもないかと」

恋仲になるつもりはないと月奈はあの日確かに言っていた。それは、叶うことはないと思っていたからだ。いつか忘れることだと思っていたからだ。

煉「だから約束も、恋仲に繋がることだと思えなかったと?」

頷いた月奈に、杏寿郎は眉根を寄せる。
自分の言葉は月奈には届いていなかったのかと悔しくなる。

煉「俺は月奈と恋仲になったと思っていたのだが、とんだ勘違いだな!」

「てっきり任務上の話かと…杏寿郎様がそう思われているとは考えも及ばなかったのです。まさか私と恋仲になりたい方がいるとは思いませんから」

ん?と杏寿郎は首を傾げる。
どうしてそう考えたのか、と問いかけると月奈は当然のように返答を返した。

「身寄りもなければ稀血ですし、尚且つ傷だらけの体です。色々あって閨事にも疎い…。そもそも良い縁談など無理だと諦めているのですから、恋仲など期待しないのが当たり前です」

杏寿郎様は全てご存じですよね。と月奈は苦笑する。
目をパチパチと瞬かせた杏寿郎は、ニコリと笑った。

煉「それが理由ならば、全て解決している!身寄りについては仕方のない話だ、稀血は隊士ならば良い、傷だらけの体を特には気にしない!それに…」

閨事など体が覚える。そう囁かれた月奈は、体がゾクリと震えた。

煉「問題は無いだろう!月奈は俺を想い、俺は月奈を想う。恋仲になる条件に不足はあるか?」

「……私が大事にするものはすぐ無くなっちゃいます。お願いですから、自分から死ぬ覚悟だけはしないでください」

無限列車の記憶が強く残ってしまったのだろう。杏寿郎を見つめる月奈の瞳は不安げに揺れている。

煉「違えかけたことで不安にさせたか。それは生きて償うしかないな!月奈も変わらず約束を守ってくれるか?」

静かに頷いた月奈に、杏寿郎は「これで晴れて恋仲、ということで良いだろうか?」と真面目に聞く。

「よろしくお願い致します、杏寿郎様」

ホッとしたように微笑んだ杏寿郎に優しく抱きしめられ、月奈も微笑んで抱きしめ返した。
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