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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第13章 気付き



首を傾げて月奈の背後を見た炭治郎につられて、月奈は振り向くが、誰も居ない。不思議に思っていると、炭治郎がポツリと呟く。

炭「煉獄さんの匂いだ」

その瞬間、月奈はまだ姿が見えていないことを確認して、炭治郎の視線と反対方向へ全力で走って行く。「私が居たことは言わないで!」と炭治郎に念を押しつつ走って行く速さはさすが鬼殺隊というべきか、杏寿郎が姿を現す前に反対の廊下を曲がって行った。

炭「なんで?」

竈門少年!と話しかけられた炭治郎は、月奈が走り去った先から視線を戻し杏寿郎に挨拶をする。善逸と伊之助も縁側に戻って挨拶をすると、ふと善逸が周囲を見渡す。

善「あれ?月奈ちゃ…んぐっ!?」

炭「おぉっと善逸!水分補給したらいいんじゃないか!?」

月奈が居たことを言わないでくれと言われた炭治郎は、名前を言いかけた善逸の口に水の入った湯呑みを押し付ける。何すんだよぉ!と口回りを濡らした善逸が叫んでいる中で、伊之助は月奈が走り去った方向を見ている。

煉「ケガが完治する前の鍛錬は、機能回復位に留めておくようにな!傷が開いたら任務に戻るのが遅れるぞ!」

聞こえてなかったか、と炭治郎はホッとする。
善逸に謝りつつ、手拭いで顔を拭いてやっていると杏寿郎が口を開く。

煉「黄色い少年!…いつまで月奈はここに居たんだ?」

伊「なんだぎょろぎょろ目ん玉、月奈ならさっきあっちに走っていっ…いってぇぇ!」

炭「いぃいぃ伊之助!顔に虫が!!」

炭治郎は伊之助の顔を手ぬぐいで張り飛ばすと、パーン!と小気味の良い音が鳴り響いた。しかし、伊之助が指差した方向を見ている杏寿郎に、炭治郎は隠しきれなかったことを悟った。

ーごめん、月奈

伊之助に髪の毛を掴まれながら、炭治郎は心の中で月奈に謝る。縁側には杏寿郎の姿はすでになくなっていた。



(炭治郎様が言わなければ気付かなかったわ。匂いって、そんなものしたかしら?)

ある程度庭から離れたことを確認した月奈は、ゆっくりと歩いていた。蝶屋敷は所謂病院だ、走り回っていたらしのぶ達に怒られるし他の患者に迷惑だ。

「杏寿郎様には気付かれてない…よね?」
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