第13章 気付き
日向ぼっこでもしようかな、と月奈が庭に向かうと先客が庭に居た。
炭「あれ、月奈さん!ケガの具合はどう?」
縁側で腰を掛けている炭治郎は、廊下を歩いてきた月奈に笑顔を向ける。庭では善逸と伊之助が鍛錬なのか遊びなのかは分からないが走り回っていた。
「竈門様!私は経過良好です、目の包帯も取れて出歩くことが出来るようになりました。竈門様は腹部のケガは如何ですか?」
横に腰掛けると炭治郎はニコリと笑って、もう治りかけだよ!と教えてくれる。炭治郎の笑顔はいつも優しくて月奈は少しだけ悩みを忘れることが出来た。
善「あ!月奈ちゃぁぁん!元気?ケガは大丈夫?俺と庭でお花でも見る?」
相変わらずの突進からの饒舌で圧倒してくる善逸。いえ、病み上がりなので遠慮します。と笑顔で断ると、炭治郎が落ち込んだ善逸を慰める状況になった。
伊「お前、まだ元気にならねぇのかよ!弱味噌だな!投げ飛ばされたこと俺は忘れてねぇぞ、元気になったら俺と勝負しろ!」
善逸を横に押しやり、伊之助が月奈の顔を覗き込む。
「あれは謝ったではないですか伊之助様。勝負なんてしませんよ。あの、鼻息当たるので離れてくれませんか…というか被り物を取って話しませんか?」
ふしゅー!と勢いよく噴き出す鼻息に吹かれながら月奈は引き攣った笑顔で提案したが、すぐさま却下を喰らった。
伊「これは外さねぇよ!絶対勝負するからな!おい紋逸、あっちで鍛錬するぞ!」
炭「伊之助!善逸に無理させるなよ!…そういえば、月奈さんはどうして伊之助だけ名前で呼んでるの?」
庭へと戻っていく二人(善逸は首根っこを引きずられている)に、炭治郎は声をかけると月奈に振り向いた。
炭「俺と善逸は苗字で呼んでいるよね、せっかくだから伊之助と同じように俺達も名前で呼んでよ!」
あ、俺は炭治郎って言うんだ!と言われ、特に拒否する必要もないので月奈は頷く。
「伊之助様は、苗字をお聞きしていないので名前でしかお呼び出来なかったんです。炭治郎様と善逸様ですね、今後はそう呼ばせて頂きます!私のことも好きに呼んでください」
炭「じゃあ、月奈って呼ばせて貰うことにするよ!…ん?」
「どうされました炭治郎様?」