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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第12章 失ったもの



煉「む?月奈も歩いているではないか!」

槇「お前は先ほどまで昏睡状態だっただろう。月奈とは違うぞ」

「と、とにかく杏寿郎様はベッドに戻ってください。私も目が疲れてきたので座りたいのですが…」

左目を塞がれて圧迫を感じつつ、右目のみで視覚を使うので負担が右目だけに集中する。負担が増せば頭痛等の症状が出る場合があるので無理は禁物、としのぶに言われている。
普段は目の奥が重く感じた時点で眠って休めるようにしているが、今はそれが出来ない。せめて座って目を休めたい。

千「月奈さん、椅子に座りましょう。兄上はベッドにお戻りください」

煉「うむ!俺のベッドを使って貰っても構わないぞ!」

千「…そのベッドは兄上のベッドですので、早く横になってください。月奈さんは申し訳ありませんが椅子で休んで頂きます」

千寿郎はそう言うと、杏寿郎と月奈の手を引いて部屋の中へと入っていく。後ろから付いていく槇寿郎は有無を言わせない千寿郎の姿を見て「瑠火にますます似てきたか」と複雑な表情を浮かべていた。


槇「それで、お前の怪我の具合はどうなんだ?」

煉「左目は外からの圧迫による眼球の損傷、視力の回復は望めないだろうと胡蝶から聞いております。あとは肋骨の骨折や腹部及び額の傷ですが、これらに関しては経過に問題はないと」

表情や声音は普段と変わらず、まるで任務の報告をするように淡々と事実を述べていく杏寿郎。左目を失明したということを先ほど聞いて、これほどまでに落ち着いて話が出来るものだろうかと月奈は疑問に思う。

(一時とはいえ片目が使えない不便さに悩んでいる自分からすれば、一生隻眼になるという事実を聞いて杏寿郎様のように落ち着いて話はできない)

槇「そうか。今後の話はもう少し回復してからだな。生きて帰っただけでも十分だ」

千「兄上が重症で運び込まれたと聞いた時には父上と二人で慌てふためきました、本当に無事に帰ってきてくださって俺は嬉しいです」

無事というには大けがですが、と千寿郎は苦笑し月奈に視線を向ける。

千「月奈さんも怪我をして蝶屋敷に帰られたと聞いて心配しました。兄上と同じように左目を負傷していたので驚きました」
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