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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第11章 再会



背負っていたカバンから手当て用の布と包帯を出し応急処置を行った月奈に、杏寿郎は少しだけ安堵した表情を見せる。

「私は大丈夫ですよ杏寿郎様。おそらく投げ出されたときに窓の硝子で切った物かと思います。瞼の出血量は他の部位より多くなりやすいと聞いたことがありますので、心配なさらないでください」

煉「…では、乗客の救助を行ってくれ。他の隠もおそらく外に投げ出されているだろう、探し出して協力してくれ。俺は先頭車両の方に居た隊士達の様子を見てくる」

そう言った杏寿郎の表情は柱としての自分と、月奈を心配する自分でせめぎ合っているような表情だ。隠ならば任務を遂行しなければならない、ましてや瞼を切ったくらいならば任務の遂行にさして問題は無いと判断できる。

ー今すぐにでも胡蝶の所に連れて行きたいが…俺は柱だ、任務を放棄していく事は出来ない。

「これからすぐに救助にあたります。ここが落ち着き次第私も先頭車両方向に向かいますので、杏寿郎様…炎柱様も夜が明けるまで気を付けてくださいね」

そう言うと月奈は方々に投げ出された乗客のケガを確認しつつ、他の隠を探しにその場を離れて行った。

煉「炎柱様、か。そう言われてしまっては、柱として任務を最後まで遂行せねばな」

この場で炎柱様と呼び直した月奈の公私の区別をつけた言葉に苦笑した杏寿郎は、炭治郎達が居た先頭車両に向かった。


雅「あの、大丈夫ですか?腹部から出血していますが…」

地面に倒れていた炭治郎は、腹部の傷のせいで呼吸が乱れている。雅雄は炭治郎の腰に差さっている鞘を見て声を掛けた。

炭「…君は…?」

煉「全集中の常中が出来るようだな、感心感心!そして君も一緒の任務だったのだな、朝霧少年!」

雅「炎柱様、お久しぶりです」

突然現れた杏寿郎に、二人は驚き過ぎて一瞬動きが止まった。先に正気に戻った雅雄は、杏寿郎に向き直り頭を下げる。炭治郎はその光景にキョトンとしていたが、杏寿郎から腹部の出血を止めるよう指示され全集中の呼吸に再度意識を向ける。

煉「うむ、止血できたな。呼吸を極めれば様々なことができるようになる。何でもできるわけではないが、昨日の自分より確実に強い自分になれる」

呼吸の精度を上げることで出血までも止められることを知った炭治郎は「はい」としか返事が出来ない。
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