第11章 再会
夜の闇を進む列車に揺られ、月奈は窓の外を眺める。
鬼がどこで出てくるのか分からないのだ、気を抜いてはいられない。
(列車内に出てくるのか、外から来るのか。それすら分かってないのよね…なにせ送り込んだ隊士も消息を絶っているんだから…)
列車の揺れが心地よいのか、周囲の乗客が穏やかな眠りに落ちている。徐々に静かになっていく客車内に、月奈もつられて目を閉じた。
バタバタバタ…!
突然通路を走っていく足音が響き、閉じかけた目を開いて周囲を見渡す。どうやら前方の客車に移動していったのだろう、足音の主の姿はすでにない。
「何かあったのかしら…?」
通路に顔を出して確認するも、やはりどこにも姿は無い。そしてふと気付いた。
(あれだけの音がしたのに、乗客が誰も起きていない…?)
その時、前方の客車から数人が歩いてくる足音が聞こえ月奈は慌てて姿勢を直すと再び目を閉じて寝たふりをする。
(人の声。もしかして他の号車は何も起きてないのかしら。この号車の乗客だけが眠ってる?)
薄目を空けて通路を歩いていく足元を観察すると、どうやら四人の人間が歩いて行ったことが分かった。性別は男女二人ずつのようだ。
?「早く鬼狩りの夢に入らないと」
?「鬼狩りは四人だよな?」
(夢に入る?鬼狩りって…鬼殺隊のこと、かしら。そうすると今去っていった四人は鬼側の人間ということ)
鬼ならば気配で分かる、しかしあの四人に鬼の気配は感じなかった。四人の声が遠ざかっていくことを確認して、月奈はゆっくりと目を開くと静かに床に伏せた。
立ち上がって行動すると勘付かれてしまうかもしれない。
とりあえず、四人と反対方向へゆっくりと進んでいこう、先ほどの足音の主はあの四人の誰かだろうか。
「!?だ、大丈夫ですか!?」
後方の客車にたどり着いた月奈の目に入ったのは通路に倒れている男だった。服装から車掌と分かるその男は穏やかな表情で涙を流して眠っている。
「この客車には誰もいないのね…先ほどの四人の待機場所かしら…でも鬼はどこ…?」