第11章 再会
チラリとその女の子視線をやると、目が合うや否や月奈に向かって走って来る。
「!!?」
咄嗟の出来事に、体が反応して手甲鈎を向けた月奈の目に映ったのは悲しそうな表情の女の子だった。よく見れば竹で口を封じられている、これでは人を襲うにしても食べることは出来ない。
炭「禰豆子。こっちにおいで、月奈さんを驚かせちゃ駄目だ。ごめんね月奈さん、危害を加えるつもりはないんだけれど、やっぱり鬼の気配がするから警戒しちゃうよね」
禰「むー…」
禰豆子、と呼ばれて炭治郎に抱き着いた表情は悲しそうなまま、月奈は武器をしまうと「ごめんなさい」と謝る。
「鬼って気配に反応しちゃって、つい…。その竹がある限り何も口に出来ないですよね。…禰豆子ちゃん?ごめんね」
(元は人間で、好んで鬼になったわけじゃないのにこんな風に避けられたら悲しいよね)
伊「お前、俺の子分傷つけんなよ!」
善「伊之助!?月奈ちゃんだって悪気があって攻撃したんじゃないから…っえ!?」
怒った伊之助が月奈の胸倉をつかみ上げようとした瞬間に、伊之助は何故か床に引き倒されていた。その一瞬の出来事に止めに入ろうとした善逸も茫然としている。
「…あれ?え?…わぁぁ!ごめんなさい、咄嗟に…だ、大丈夫ですか?えっと、伊之助様…?」
体術が体に染みついている月奈は、伊之助が向かってきた力を利用して床に倒したのだ。それも無意識に近い状態で。ハッと気付いた月奈は慌てて伊之助にケガがないか確認する。
炭「…すごい。それに見た事ない武器を扱うんだね」
伊之助が身動きしない事に焦る月奈は、どうしようかとオロオロしてしまう。
善「あれ?もしかして伊之助気を失ったの?おーい」
善逸が猪の被り物を剥ぎ取ると、目をパッチリと開いた伊之助の素顔が露わになった。どうやら気絶してはいないようで、起こった事がよく分かっていないから放心しているだけのようだ。
(え!?なに、女の子みたいな顔…雅雄様とはまた違う美人だわ!)