第11章 再会
関わることは無いだろう、と思っていたが間違っていた。
月奈はどこかから響いてくる賑やかな声のせいで眠りに就けず、体を起こした。
(…なんだか聞いたことがあるこの声…たしか蝶屋敷で…)
廊下に出ると、賑やかさが増して聞こえる。これならば部屋は簡単に突き止められそうだ。声の響いてくる方へ足を進めた月奈は途中でピタリと足を止める。
「そうか、鬼の気配がするのは竈門様の妹の気配なのね」
先ほどから感じていた鬼の気配は、声がする部屋からだった。鬼狩りに与する鬼というものが、どのような人物なのか想像がつかないから余計に不安を煽ってくる。
(大丈夫…よね。どうやら複数の隊士が同室のようだし、何かあったら自己防衛だけでもしないと…)
そう考えて寝間着の袖に潜ませた手甲鈎を確認をしてから部屋の中に声をかけた。
炭「あ、やっぱり月奈さんだ!匂いでそうじゃないかなぁとは思っていたんだよね。こんばんは!」
善「え!?月奈ちゃん?あの蝶屋敷で会った女の子?何何?俺に会いに来てくれたのぉ!!?」
伊「うるせぇ紋逸!!誰だ月奈って奴は!?」
声をかけたと同時に開いた襖に呆気を取られた月奈は、怒涛のように話しかけられて更に動揺する。
「え、あ…あの、もう夜更けですのでもう少し声を落として頂けないかと思いまして…その、お久しぶりです」
ごめんね、と困ったように微笑んだ炭治郎は善逸と伊之助に叱っているが、二人はそんなこと気にせずに月奈に視線を向けてくる。善逸に至っては知らぬ間に月奈の左手を握っていた。
善「驚かせてごめんねぇ!廊下を歩いてくる音までは聞き取っていたんだけれど、さすがに月奈ちゃんだとは分からなかったよぉ」
伊「あぁん?蝶屋敷?しのぶのところの人間がこんなとこに何の用だ?俺の感覚ではお前のことは知らねぇぞ」
(音…感覚…?私静かにここまで来たし、蝶屋敷の時は猪さんは寝ていたような気がする…)
炭「こら、静かにしろって二人とも!…月奈さんはどうしてここに?」
「明日から無限列車の任務に就きますので、駅から近いこの屋敷に宿泊しているのですが…あの、その女性は竈門様の妹君でしょうか?鬼の気配が…」
先ほどから部屋の奥にいる女の子の視線が痛い。