第11章 再会
「雅雄様、炎柱様と音柱様にはお会いしていますよ。最終選別が終わった日に、藤襲山の麓でお会いしたお二人です」
雅「あぁ、あの二人が…。月奈を横抱きにして連れて行ったのはどちらの柱ですか?」
「…炎柱様です」
へぇ、あの人が来るのか。となにやら穏やかじゃない笑みを浮かべた雅雄に月奈は冷や汗が出る。
(なんで雅雄様は杏寿郎様に当たりが強いのかしら…任務中でも大丈夫じゃないかもしれない…)
後「水橋、そろそろ時間だぞ。朝霧明日はよろしくな」
こちらこそ、と微笑んだ雅雄は手を振って見送る中、月奈は歩き出した後藤を慌てて追いかける。
他の隠達と合流した二人は、明日の任務についてどう動くのかをしっかりと聞いた後解散となった。
(結構な人数が被害に合っているのね。そんなに強い鬼が相手なのかしら)
「よく考えたら、柱の強さって他の隊士とどれほど違うんだろう…考えたことなかったわ」
なんたって柱がいる。という先ほどの後藤の言い方から察するに、柱は戦闘において絶大な信頼を得ているのだろう。しかし、他の隊士も最終選別を突破した者ばかり決して弱いはずがないのだ。
「隊士達の上位9名が柱を拝命。多くの隊士の中でたった9名しか柱になっていないということは、それだけ力量の差がある、ということは間違いないのかしら」
呟いた月奈に応える者はいない、解散してからは独り今日の宿に向かっているからだ。
「この辺に藤の花の家紋の家があるって聞いたけれど…」
周辺を見渡しながら歩いていると、門に大きな藤の花が描かれた屋敷を発見する。この家紋を掲げた屋敷は鬼殺隊に恩がある為、隊士に無償で尽くしてくれると聞いている。
門を叩いて声を掛けると、門が開き優しそうなお婆さんが姿を現した。
?「鬼狩り様ですか?あぁ、隊服を着ておられますね。どうぞ」
「お世話になります」
月奈は広く開かれた門から中へと入る。
部屋案内の途中でそのお婆さんは〔ひさ〕と名乗り、今日は別の隊士も宿泊していると話してくれた。
ひ「あなた様以外、お泊りの鬼狩り様たちは男性ですので、関わることはないかもしれませんが、念の為お話しておきます」
(明日の任務に参加する隊士かしら。少なくとも隠は私しかここに宿泊しないから、剣士になるし関係はあまり無さそうね)