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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第10章 潜入 *



清「おはよう藤葉ちゃん!…昨夜はあれから大丈夫だった?」

「清花さん、おはようございます。昨夜はありがとうございました」

杏寿郎を出入り口で見送った月奈に、同じくお客を見送った清花が歩み寄って心配そうに声をかけた。
思いのほか明るい表情で挨拶を返され清花はホッとする。

寝所に戻り、二人で布団に入りながら周囲に聞こえないような声で昨夜のことと、今日の昼には見世を出ることが決まったことを話す。

清「そっか…藤葉ちゃん、居なくなっちゃうんだねぇ。でもいい旦那様だもの、きっと幸せになれるわね」

「身請けということで出るけれど、実際は身請けでも何でもないですよ。旦那様も組織の一人ですし」

清「それでもあれだけ愛されるのは女冥利に尽きるわ。演技だったとしても、一度はあんな風に愛されてみたいな私も」

クスクスと笑って清花は月奈の手を握る。
握り返すと、月奈は杏寿郎と相談したことを清花に伝えた。

清「手紙?旦那様のところへ?」

「そう。あの男の事も勿論だけれど、まだこの花街で調査は続くから、定期的に私と手紙のやり取りをして欲しいの。ただ、家が無い私は旦那様…杏寿郎様のお屋敷でお世話になっている現状だから、あて先はそこに。宛名は杏寿郎様宛が自然だと思います」

月奈は諸々が記載された紙を清花に渡す。
さっと目を通した清花は胸元に紙をしまい込むと、頷く。

清「藤葉ちゃんの言う通りに送るわ。…たまには花街に来る?」

「次の場所に向かわなきゃいけないからしばらくは無理だけれど、必ずまた来ます。こっそりと、だけれどね」

苦笑すると、清花は嬉しそうに笑った。
清花も寂しいのだろう、お見送りをしたいと申し出てくれたが、目立たないように出て行くので楼主や内儀からもお見送りに出ないことを言われているので、丁重にお断りした。
その時の寂しそうな表情に胸が痛んだのは言うまでもない。



日が高くなり始めた頃、月奈は杏寿郎が持ってきてくれた着物に着替えて楼主の部屋に向かうと、既に杏寿郎と天元が楼主と内儀に話をしていた。

楼「あぁ、藤葉。着替えが済んだかい。ちょうど話が済んだところだ」

内「…滞りなく手続きは終わったよ。短い間だったのになんだか寂しくなるねぇ。清花も藤葉を気に入っていたからね、あの子もきっと寂しいだろう」
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