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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第10章 潜入 *



煉「そうか、それならば良かった」

眉を下げてホッとした表情を浮かべる杏寿郎に、天元が「本当にな」と微笑む。

清「ですが、藤葉ちゃんが傷ついていないわけではないのでその男を許すつもりはありません。それに、お金で私達が言いなりになると勘違いされていらっしゃるようですし…少々腹の虫が収まりそうにありません」

口元を袖で隠した清花の目は冷たく男を見下ろしている。
その目を見た杏寿郎と天元はひやりと冷たい汗が背中を伝う。

清「藤葉ちゃんの満足いく末路になってもらいましょう」

「杏寿郎様、楼主さんと内儀さんがお時間を作って下さいましたので…ん?どうかされたのですか?」

清「藤葉ちゃん、何でもないの!私も内儀さんに会ってから座敷に戻るね、一緒に行こう」

ぱっと表情を笑顔に戻した清花は月奈の手を取って部屋を出る。

宇「将来の花魁候補は随分と恐いもんだな…」

煉「昔から女を敵に回すなと言うが…俺達も月奈に何かあったら社会的に潰されるやもしれんな!」

ははは、と笑って部屋を出て行く杏寿郎の背中に天元は「冗談はよせよ」と青褪めて呟いたが、誰も聞いている人間はいなかった。




「あ、あの清花さん。本当に…あの男に制裁するの?」

清「え?制裁して欲しくないの?」

立ち止まった月奈に首を傾げる清花。
違うの、と首を振って月奈は握っている手に力を込める。

清「私、花魁になるって言ったでしょ。ただ身を売るだけの存在じゃなくて、政〔まつりごと〕にも関わっていたってここに入った頃に知ってからずっと目指してる。お金で片付く女なんて私は真っ平御免なのよ、だからあの男が許せない」

「でも…清花さんに何かあったら…」

清「ここでは私は幸い大事にされてるもの、あの男に何かされる前に若い衆に見つかってやられちゃうよ!それに一度頼まれたからには全うしないとね」

ふふ、と笑った清花は再び月奈の手を引いて歩き始める。

清「内儀さん、清花です」

そう声をかけて部屋へ入っていく清花を見送り、遊郭の出入り口を何気なく眺める。
既に夜も更けてきている中、遊郭は賑やかさを増していく。ときと屋は繁盛している大店だ、人の出入りは多い。
しゃがみ込んで冷えた足先を手で擦ると、頭上から声が降ってきた。
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