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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第9章 穏やかな時間



そうと決まれば!としのぶは手をパンと合わせて微笑んだ。

し「さっそく煉獄家に向かいましょう」

しのぶと蜜璃は傍らに置いていた風呂敷包みを手にして、席を立った。会計を終えて三人は店を後にすると、煉獄家へ向かうべく歩き出した。



千「あれ、月奈さん?もう戻られたのですか?」

「それが…」

し「千寿郎さんこんにちは、お家にお邪魔してもよろしいですか?」

蜜「千寿郎君こんにちは!元気そうで何よりだわ!」

困り顔の月奈の後ろから顔を覗かせた二人に千寿郎は目をパチクリと瞬かせた。

千「もちろんどうぞ。月奈さんのお部屋にお茶をお持ちしますね」

きゃっきゃっと楽しそうにしている二人に困りながらも、姉が二人出来たような気持ちになり月奈は嬉しさから笑顔が零れた。

槇「月奈、あまり騒ぐと風邪をぶり返すから気を付けなさい。二人ともゆっくりしていってくれ」

部屋へと向かう途中で槇寿郎とすれ違うと、しのぶと蜜璃は丁寧に頭を下げて挨拶をする。やはり、鬼殺隊の柱というものは元がついていても凄いものなんだなと月奈は思う。しかし、槇寿郎はその対応が苦手なのかそそくさと去っていく。

(そういえば、初めてこちらに来た時も堅苦しい呼び名はやめてくれと言っていた)

偉い方なのは確かなのだが、それを鼻にかけず偉ぶることもしないのが槇寿郎らしいと感じる。だからこそ、杏寿郎や千寿郎のような真っすぐな子供が育つのだろう。


どうぞ、と促され二人は部屋に入るとハンガーに吊るされている隠の隊服が目に入る。〔滅〕の文字が書かれた剣士の隊服とは違って、〔隠〕の字が書かれた隊服。よく見ると腰回りがゆったりと作られている。おそらく、剣士のように帯刀する必要がないからだろう。吊るされた隊服の足元には頭巾と顔布が畳んで置かれている。

全て装着すると目だけしか見えないようになっており、一目見ただけでは誰が誰なのか判断できないだろう。

蜜「そういえば、こんなにきちんと隠の隊服を見るのは初めてかも。素材は私達の隊服と一緒みたいね、ねえしのぶちゃん!」

し「そうですね、私もあまり見たことがないです。…さすがに裁縫の前田隊士は隠の隊服までは改造していないようですね」

蜜「裁縫係の隊士の名前まで憶えているなんてさすがね!」

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