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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第9章 穏やかな時間



「迂闊?」

千寿郎は苦笑して、居間へと案内する。先を行く杏寿郎は心なしか楽しそうだ。それとは対照的に、後ろをついてくる月奈は相変わらず「??」と首を傾げている。

ー兄上のご様子から察するに、慕い人とはおそらく月奈さんだろう。それに気付かない月奈さんは無意識に兄上に発破をかけてしまった、といったところでしょうか。

触らぬ神に祟りなし。と千寿郎は判断して一人心の中で決意する。知らぬ存ぜぬを突き通そうと。



豪華な夕飯をご馳走になったからには、と片付けを手伝いながら月奈は暗くなった窓の外を見る。

(そうか、あの山で気を張り詰める夜はもう終わったのね…)

千「月奈さん、手伝って頂いて助かりました!主役に片付け等させてしまってなんだか申し訳ないです」

眉を下げて微笑む千寿郎は、月奈の隣で食器を拭いている。声をかけられた月奈は、手拭いで濡れた手を拭きながら千寿郎に笑いかけた。

「いえ、あんな豪華な夕飯を頂いたのですから、これくらいは当然です!」

あの山で過ごした七日間に比べたらまだまだお手伝いできます!!と拳を握ると千寿郎の顔色がサッと変わったことに、首を傾げたが千寿郎が発した言葉で次は月奈の顔色が変わる番だった。

千「…歯形?」

「へ?…………!!こ、これは!先ほど私が、かかか噛みまして…!」

千寿郎の視線を追った月奈は、先ほどの杏寿郎の噛み痕を自分の腕に見つけ慌てて誤魔化そうとするが、赤面している月奈を見れば誰が噛んだか一目瞭然。

「千寿郎さん!どちらに…!?」

片付けをする為にたすきで上げた袖から覗いた腕に残る歯形。先ほどまでは袖で隠れていたから気付かなかった。
台所から出て行った千寿郎を追いかけていくと、行先は杏寿郎の部屋だった。

(…見事にばれている…この噛み痕の犯人が…)

「あの、千寿郎さん!これは自分が悪いのです…!」

煉「月奈?…千寿郎?」

杏寿郎の怪訝な声は部屋からではなく鍛錬場に続く廊下から聞こえてきた。杏寿郎の部屋の前で騒いでいた二人は対照的な表情をしている。

鍛錬をしていたのだろうか、手拭いで汗を拭いながら歩いてくる道着姿の杏寿郎が廊下を歩いてくるが、月奈は青褪めて首をぶんぶんと横に振っている。
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