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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第9章 穏やかな時間



煉「そうか、君はどの男にもこんなことを許すのか。本当に?」

ツゥ…と噛みついた箇所から肘へと舌を這わせながら、爛々と光る眼を月奈に向ける。ゾクリと背筋を抜ける感覚に月奈は腕を引こうと力を入れるが、男の力に敵う筈もない。

「ち、違います。…っん…」

煉「何が違う」

(誰にでもなんて…)

「誰にでもこんなことを許すわけではありません。そこだけは違います!…ですからもう、勘弁して下さい…っやぁ…」

先ほど泣いた影響だろう赤くした眦に、悩まし気に眉を寄せた表情で睨み付けられれば、さすがの杏寿郎も「やり過ぎたか」と後悔する。しかし、唇から漏れる声は杏寿郎を煽る。

煉「…では、誰に許す?」

解放された左手を胸元で抱えて、質問の答えを必死に探す。
月奈。と呼ばれ、彷徨っていた視線が杏寿郎に戻ると、月奈はハッキリと言った。

「もちろん、お慕いした方に許します。…杏寿郎様こそ、このようなことはお慕いした方にだけにしてくださいね」

ビシッと自分の左手を指差して月奈は苦笑する。
その姿を見て、顎に手を当てて考えに耽っていた杏寿郎はふと思いついたように笑った。

「?杏寿郎様?お分かりいただけましたか?」

煉「なるほど、よく理解した!では、これからは遠慮なく攻めさせて貰おうか」

「…はい?え?」

杏寿郎は勢いよく返事をして月奈の肩を叩く。訳が分からない月奈は、首を傾げた。

千「兄上、月奈さんもお目覚めですか?夕飯の準備が出来たのですが」

廊下からかけられた千寿郎の声に、うむ!起きているぞ!と返事すると月奈を膝から下ろした。立ち上がって襖を開ける杏寿郎を見て、慌てて月奈はついていく。

千「…月奈さん、不思議な顔をしてどうされたのですか?」

「え?…いえ、杏寿郎様が不思議な事をおっしゃったので…」

煉「俺は何も変なことを言っていない!慕い人に攻めの姿勢を取れと月奈に指南を受けたのでな、試してみようというだけだ!」

「そんなつもりで言ったのでは…ないの…ですが?…え?」

話がおかしい、と月奈は混乱したが、千寿郎からの視線で更に混乱した。哀れみのような視線、何故?

千「月奈さん、迂闊な発言でしたね」
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