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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第9章 穏やかな時間



「んん…あれ?寝ちゃってた…」

目を擦り部屋を見回すが、しんと静まり返っている部屋には月奈だけが残されていた。
先ほどまで、傍らで月奈争奪戦の作戦会議が繰り広げられていたことを月奈は知らない。

肩にかけられた毛布は、蝶屋敷の物だ。
つい先ほどまで藤襲山で最終選別を受けていたことを思うと、とても穏やかな時間が流れている。

「…湯浴みしたい…湯殿貸して貰えるかな…」

ドサリと畳に寝転んで毛布にくるまりながら呟く。
七日間、川で顔を洗う程度で体はドロドロのままだ。
お腹も減っているが、このまま惰眠を貪りたい気もする。
しかし蝶屋敷でこのままゴロゴロするわけにも行かないだろう。

「……よいしょ!」

ガバリと体を起こすと、毛布を畳んで部屋を後にする。
廊下に出ると、入院していた時の見慣れた蝶屋敷の病室側ではなく住居側に居ることが分かった。

「とりあえず…病室側に向かうとするかぁ」

ぐーっと伸びをしながら、廊下を歩いていくと、とある部屋の前で背筋に悪寒が走った。

(え?…何?この部屋から…鬼の気配?)

日中であること、そして隊士が多く出入りをする蝶屋敷であることを考えればそんなことあるはずがない。扉に手を掛けて中を確認しようとするが、冷や汗が止まらない。

煉「む?月奈、何をしている?」

背後からの声に振り向くと、杏寿郎としのぶが並んで立っている。しのぶは、部屋番号を見て「あぁ」と苦笑した。

し「その部屋の気配に気づいたのですね。でも大丈夫ですよ。ねぇ、煉獄さん?」

煉「…俺はまだ大丈夫とは認めていない!しかし、とりあえずは胡蝶が預かる話になっているならば俺は何も言わん!」

「…あの、鬼なんですよね?この中にいるのは」

えぇ、としのぶが頷いて簡単に説明をしてくれた。月奈が最終選別中に、鬼を連れた隊士が任務地にて発見されたということだった。柱合会議にかけたが、お館様の判断はその隊士と鬼の処分を無くし隊士として任務をこなして貰うという結論が出たので、隊士のケガの治療も含め蝶屋敷で預かることになったということらしい。
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