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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第8章 最終選別



ゾクリと背筋に悪寒が走った月奈は勢いよく振り返る。もちろん、ただ木が並ぶだけの風景以外に何もない。

「な…何だろう?鬼は出てこない時間のはずだけど…?」

余計な事を考えている暇はない。日が昇っている間にやらなければならないことは多々あるのだ。

「さてと、とりあえず…今日の拠点はここで大丈夫かしら」

頭上を見るとしっかりと枝が絡み合って大きく成長している木を発見する。葉の生い茂り方も問題無さそうだ。
月奈は木に昇っていくと、枝上から見える景色に少し目を細める。

(まだ一日しか経っていないのに、もう皆が恋しい…)

夜が明けたということは、隊士は任務から解放されて帰宅している頃だろう。ふと、杏寿郎の腕の中で目覚めた朝を思い出し、自分の首に触れる。

(結局、あの時の行動の意味は聞けなかった。少なくとも怒らせたことは分かっているけれど、理由に心当たりがないのよね)

通常ならば、同衾など在ってはならないことだろう。けれど、あの夜とても穏やかに眠ることが出来たのは杏寿郎の温かさがあったから。

「一人では眠れなかったことを分かって気遣ってくださったのかな。…本当に眠くて無意識な行動だったのかもしれないけど」

目覚めた時の、杏寿郎の驚いた顔は中々に面白かった。
その顔を思い出して、くすりと笑った月奈は木の幹に体を預けて短い仮眠を取るべく目を閉じた。



日差しが瞼を刺激し、ゆるゆると目を開くと、太陽の位置が大分上に上がっていることが分かる。
おそらく3時間程眠っていたのだろう、いくら鬼が出ない時間としても随分ゆっくりと眠ってしまった。

(無防備だと言われる所以はこういう所かな…)

苦笑して武器や食料を確認するが、特に無くなっているものは無さそうだ。日が沈めばまた鬼から逃げる時間になる、その前に川を見つけておきたい。

「水分の確保と、出血した時の洗い流す場所を探しておかないとね」

木から下りると耳を澄ましつつ、地面をじっと見つめて歩く。水場に近い地面は湿っていることが多い、後は水音がしないか探せばいいのだ。

パシャリ…

少しずつ湿り気が増していく地面をたどっていると、付近で水音が聞こえた。月奈は木陰に姿を隠し、音がした方向の様子を伺う。
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