第3章 その日
胸がズキズキと痛む。
まるで、私の考えが否定された気がした。
静かな沈黙が私のやり方は間違っていると言っている様に思えた。
「あぁ・・・、そうだな・・・。分かったから・・・。さっさと行けよ内地に・・・、お前みてぇな敗北主義者が最前線にいちゃあ士気に関わんだよ。」
「勿論そのつもりだが、お前こそ壁の外に行きてぇんだろ?さっさと行けよ。大好きな巨人がお前を待ってるぜ?」
二人とも声は荒げずに睨み合っている。
「・・・面倒くせぇ。」
「へっ・・・・・・。」
な、何か・・・、怪しい雰囲気になってきた。
心配になって声を掛けようとしたら、同時に二人が殴り合いを始めた。
「ちょっ・・・!!ミカサ、どうしよう・・・。」
「大丈夫、私が止める・・・。」
「えっ!?危ないよ!・・・ミカサ!!」
周りが騒いでいる中を私の制止も聞かずに進んでいってしまったミカサ・・・。
ハラハラと見守っていたら、ミカサがエレンを体当たりをするように止めるのが見えた。
そのまま肩に担いで、外に出て行ってしまった。
え?私は置き去り・・・?
二人の喧嘩が終わった後、段々と人が寮に戻っていった。
急いで、残っているご飯を口に詰め込んで、外に出る。
外に出てすぐに、二人が見えた。
「二人とも今日は、もうお開きだって・・・。寮に戻るよ。」
「あぁ・・・。なぁ、アルミン。お前・・・、兵団の希望は、どうするんだ?」
「・・・・・・。」
これは、誰にも言わず、ずっと自分の中で考えてきたことだ。
エレン達に置いて行かれないように・・・。
エレンの横に腰を下ろす。
「私は調査兵団に入る!」
二人とも驚いた顔をしている。
そりゃあ、そうだろう。
「本気で言ってんのか?お前は―――――。」
「あぁ、分かってるよ・・・。私は人より体力が無い。卒業模擬戦闘試験を合格できたのも奇跡だ・・・。」
「お前は座学はトップなんだから技巧に進めって教官も言ってたじゃねぇか!長所を捨ててまで非効率な選択をするのは勇敢って言わねぇぞ。」
それでも私は、私を変えるために、心に決めたんだ・・・!
「死んでも足手まといにはならないよ!」
その時、ハンネスさんが前を通る。
心臓の位置に拳を当て、敬礼をする。
ハンネスさんも此方に気付いたのか、仕事を終わらせ、此方に向かってくる。