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ネガティブガール

第3章 その日


「・・・・・・。俺が頭のめでたいヤツだと、そう言いたいのかエレン?」

ジャンが真剣な顔をしてしゃべりだした。

「・・・・・・。それは違うな・・・俺は誰よりも現実を見てる。4年前――――巨人に奪われた領土を奪還すべく・・・人類の人口の2割を投入して総攻撃を仕掛けた・・・。そして、その殆どがそっくりそのまま巨人の胃袋に直行した。あと何割か足せば領土は奪還できたのか?巨人を1体倒すまでに平均で30人は死んだ。しかし、この地上を支配する巨人の数は人類の30分の1では済まないぞ。もう十分わかった。人類は・・・巨人に勝てない・・・。」

静かになる食堂は、暗く重い空気が漂っている。
皆が下を向いて顔を歪めている。

「はぁ・・・。見ろ・・・お前の所為でお通夜になっちまった。」

こんな空気になったのはジャンの所為だと思うが・・・。

「それで?」

「はぁ?話聞いてたか?」

「”勝てないと思うから諦める”ってとこまで聞いた。」

「・・・。」

「なぁ・・・、諦めて良いことあるのか?あえて希望を捨ててまで現実逃避する方が良いのか?」

皆がエレンに見入っている。
それもそうだろう。
誰もが心の奥底では勝つのは無理だと諦めていたんだから・・・。
なのに、エレンは諦めずに勝つ方法を模索しているんだ。

「そもそも、巨人に物量戦を挑んで負けるのは当たり前だ。4年前の敗因の一つは巨人に対しての無知だ・・・。負けはしたが得た情報は確実に次の希望に繋がる。お前は戦術の発達を放棄してまで大人しく巨人の飯になりたいのか?・・・・・・冗談だろう?」

私もエレンに会って変わったと思う。
誰かの役に立ちたい、最後まで諦めず戦い抜きたい・・・。
前世の記憶を持って生まれたのも、きっと意味があるんだって、私にも生きる価値があるんだって、考えるようになったから。

「俺は・・・、俺には夢がある・・・。巨人を駆逐して、この狭い壁内の世界を出たら、・・・外の世界を探検するんだ。」

私も外の世界を見てみたい・・・。
前の世界と、こっちの世界はきっと全然違うから。
この世界を見たら前世の記憶にも踏ん切りがつくとおもうから。

「はッ!何言ってんだお前!?めでたい頭してんのはお前の方じゃねぇか!」

「・・・何だと!!」

「見ろよ!誰もお前に賛成なんかしねぇよ!」
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