第1章 継子
パタパタパタパタ…
煉獄さん?!
美玖さん、気が付かれましたか?!
胡蝶が、珍しく慌てて駆けてくる。
それに気付くと、
美玖は胡蝶へ声を掛けた。
胡蝶…さん…
お久しぶり…です。
胡蝶は、その場で軽く診察すると、
はい。もう大丈夫です。
明日から食事を摂って、安静にして、
動けるようになったら、
機能回復訓練をしましょう。
その言葉を聞き、
胡蝶に深く頭を下げ、
俺は任務へと向かった。
ー…
それから二ヶ月後、
師範!少し、休憩にしましょう!
何?先程取ったばかりだろう!
まだまだ、あと素振り五百!
ひゃーーっ!!
もう、無理ですぅーー!!
すっかり回復した美玖は、
未だ体力が戻りきらないので
煉獄家にて再度修業を再開した。
これだ。
この声が、
ずっと、聞きたかったのだ。
心の底から安堵する。
あのまま、
君が亡き者となっていたら…
俺は、耐えられただろうか。
父のように、
自棄になっていたのではないだろうか。
父上が何故、ああなってしまったのか、
少し、解ったような気がする。
憶測でしかないが…
とにかく、
また美玖に稽古をつける事ができた!
今は、それで充分だ。
休憩したいと、
ひっくり返り駄々をこねる美玖を見て、
まあ、今日のところは多目に見るか、
と心の中で呟く。
…仕方がないな。
では、千寿郎を呼んできてくれ。
皆で、お茶にしよう。
…!師範、ありがとうございます!
すぐに!呼んで参ります!!
パタパタと駆けて行く美玖を見送る。
絶対に、
今度は、必ず、
君を危険な目には遭わせない…。
次は、必ず、
俺が守ってみせる!
暖かな陽射しが眩しい青空の下、
そう、固く心に誓った。