第10章 お見舞い
美玖は、強いな!
剣技だけでなく、心が強いんだな。
俺も、もっと頑張らないと!
炭治郎はそう大きな声で言うと
美玖の手をぎゅっと握った。
美玖!色々とありがとう!
俺も、人々を鬼から救えるよう、もっと強くなる!
一緒に頑張ろう!!
あーーー!炭治郎!
お前なに手なんか握ってんだよぉー!
美玖ちゃん、俺も、俺も頑張るよ!!
美玖ちゃんの為なら!
善逸はそう言うと炭治郎の手ごと美玖の手を握って離さない。
賑やかな二人を前に美玖は微笑んだ。
ふふっ本当、面白い。
うん。一緒に頑張ろう!!
ー…
蝶屋敷での訓練もひと段落し、
皆の体調も万全だった。
日課の訓練をしている様子を見ながら、
そろそろ、復帰できるかな…。
美玖がそんな事を思っていると、
空から特徴的な声が響いた。
カァー!炭治郎ー!
列車ニ向カエー!四十人以上ガ行方不明ニナッテイル!
現地ノ煉獄杏寿郎ト合流セヨー!
っ…!!!
鴉の声に炭治郎はしっかりと頷く。
美玖はそれを黙って聞いていた。
…師範、まだ列車の任務が終わってないんだ…。
すごく、難しい任務…なんだろうな。
美玖の頭の中は、杏寿郎を見送る時に感じたあの不安な感覚で溢れていった。師範が強いのは知っているけど、でも…。
炭治郎達が明日の出立に向けて準備をする中、
美玖は一人、密かにある決意を固めていた。