第9章 柱合会議
っ…はあーーっ…
良いお湯過ぎる〜!!
山での任務後、お館様の屋敷へ行き、
お風呂に入る時間も場所もなく、
一日ぶりの入浴であった。
疲れた身体に温かいお風呂は最高に癒される。
ゆっくりと浸かっていると、
戸の向こうから声をかけられた。
美玖?風呂から出たら、
俺の部屋に来てくれるか?少し、話がある。
杏寿郎の声がして、お湯に深く入り直しながら答える。
は、はい。分かりました!
別に風呂に入ってこられた訳でもないのに、
美玖の顔は既にゆでだこのように赤かった。
その後、なんだか落ち着かなくなってしまい、
すぐに風呂から上がることにしたのだった。
ー…
師範。失礼します。
一言声をかけ、杏寿郎の部屋へ入る美玖。
おお、すまないな!
こちらに座ると良い!
杏寿郎は部屋の縁側に腰掛けてお茶を飲んでいた。
自身の右側を叩きながら手招きしている。
美玖は言われるまま、杏寿郎の隣に腰を下ろした。
わざわざ呼び出してすまない。
実は少し厄介な任務が入ってな。
しばし、家を空けることになりそうだ。
そうですか…。
柱である杏寿郎にも難しい任務…。
美玖の顔が不安と心配で暗く染まる。
ふっ…!そんな顔をするな!
任務を終えたら、また、街にでも行くとしよう!
留守の間、千寿郎と父上を頼むぞ。
…私も、一緒に行ってはいけないのですか?
何故かものすごく嫌な予感がして、
美玖は無意識に杏寿郎の袖を掴みながら言った。
杏寿郎は美玖の不安げな表情を見て、
愛おしさのようなものを感じた。
彼が兄心であると信じている感情だ。
美玖を安心させる為、
杏寿郎は美玖を優しく抱きしめると、
必ず戻ると約束しよう。
美玖は帰りを待っていてくれ。
酷く優しい声で、諭すように言われてしまい、
美玖はそれ以上食い下がる事はしなかった。
…絶対ですよ。師範…。
美玖はそのまま杏寿郎の腕の中で眠ってしまい、
朝、杏寿郎の部屋で目覚めた時には、杏寿郎は既に出発していた。
鬼が出るという、列車へ向かって…。