第22章 お兄ちゃんのお見舞い
晴れ…。
恐ろしいほどの晴れ。
抜けるような青空、とはよく言ったものだ。
雲ひとつなく…
そよ、とも風の吹かない…
私が今日1日何をしていたかと言うと、
こうしてただ空を見上げていた、ダケ。
宇髄さんの所で数日の間過ごさせてもらい、
ケガの具合も随分よくなった。
向こうにいる間、
常に寄り添ってくれた宇髄さんのおかげで
心も、良くなって来たように思う。
…知らない事が多すぎて。
私が知らない事が。
知ったからと言って、
私にできることなんて何もないけれど…。
あの人たちは、
私の、…私たちの知らない所で
どんな思いで刀を振るっていたのだろう。
どんな…戦いをしていたの…?
「なんなんだよ、てめェはよォ…」
顔は傷だらけ。
腕も胸も傷だらけ。
目つきは悪ィし口も悪ィ。
絶対ぇ誰も近寄らなさそうなのに。
だって怖ぇだろ?
特に女こどもは。
なのに俺の女はこの男が大のお気に入り。
しかもこの男も、
俺の女をそりゃもうめちゃくちゃに可愛がる。
何の嫌がらせだろう。
「何がだよ」
「何でついて来んだァ」
「当たり前ぇだろ。何でお前ひとりで
睦んとこ行かすんだよ」
「俺は別に睦ンとこ行くなんて
ひとっことも言ってねぇじゃねぇかよォ」
素知らぬフリを決め込むが…、
そんなんわからねぇ俺じゃないんだよ。
「じゃその手土産はなんなんだ」
「手土産?これは俺のだ」
「お前はおはぎだろ」
「俺がおはぎだけ食ってると思ったら
大間違いなんだよ!」
あら、キレちまいやんの。
「別におはぎが好きでも
恥ずかしい事じゃねぇよ?」
「黙れこの野郎!誰がンな話したァ‼︎」
すれ違う人々が
そそっと俺たちを避けて行くのがわかった。
「みんな怖がってんじゃねぇか。
あんま外で大声出すなよー」
「てめぇがおちょくるからだろ!
つうかてめぇのでけぇ図体の方が
よっぽど怖ぇわ!」
ぷんすか怒り散らす不死川は
どすどすと足を踏み鳴らす。
「おちょくってねぇし。
だってそこ、睦の好きな甘味処だろ。
間違いなく見舞いだろー?」
「るっせぇなァ!」
「何を照れる事があんの?
可愛い睦の見舞いだヨ☆
って言やぁいいだけの事だろうが」