第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
そのまま寝の体制に入った私を
「いや、待て」
慌てて引き止める。
…わかりやすく言ったつもりだったけど。
「抱きしめてるだけか?」
「抱きしめてもらえることが
どれだけ大切かわかるでしょ?」
「んん⁇…いや、…あぁ…?…」
首をひねり、
曖昧な返事。
きっとわかっていない。
「私、ずっと夢を見てたの。
ひとりきりで長い道をひたすら歩いてた。
誰にも出会わないし、暑いし、
なのになぜか歩かなきゃいけないのよ。
しかも、きっとそれは
死に向かう道だったんだと思うんだ」
「なん、…!」
驚いて上半身を起こし掛けた天元を
「いいの、聞いて」
冷静に引き戻した。
彼の反応を試したいわけじゃない。
「私の意識がない時、私の名前を何度も呼んだ?」
「呼んだ」
「でしょ?それも聞こえてたの。
誰かが呼んでるなーって。
あのあったかい風は天元の腕だったのよきっと」
抱きしめられた時に、
あの暖かさを感じたに違いない。
だから…。
「だからね、ぎゅってしていてほしい。
天元がそばにいてくれたら
安心して夢を見られると思うから」
「…そんなんでいいならずっとしててやるよ」
そのまま力いっぱい抱きしめてくれる。
「うん。…ありがと」
「…ちゃんと目ぇ醒ませよ?」
そんな言葉を
ほとんど夢の中で聞いた私。
醒ますに決まってる。
目醒めに、愛しい人がいてくれるなら。
☆彡