第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
そんな私を、
落ち着いた様子で支える男は
私の体をそばにあったベッドの縁へと
座らせた。
掴まれた腕も、
擦れる衣類も
なんだかとってもくすぐったくて
しかも全身が震え出す始末。
何、これ…。
大いに戸惑った私は、
なんとも不本意ながら
目の前の男に縋るような目を向けた。
他に拠り所がないとはいえ、
こんな男に助けを求めるなど
本来であれば絶対にありえない事だ。
でも、それほどまでに
この時の私は困惑していた。
大仰にため息をついてみせた王子は
私の両腕を掴み
目も合わせないまま
「アイシャ。花の香りが、強いと言ったな」
「えぇ…ん…ちょっと…触ら、ないで」
触られた所がくすぐったい。
加えて熱でも出たかのように、熱い。
「俺が触れると、おかしいだろう。
…花に、媚薬が仕込まれていたようだ」
「は…?」
媚薬…?
そんなもの本当にあるの?
心の声は、思い切り顔に出ていたようだ。
「…お前を支持する者もいるという事だ」
「支、持…って…?っ、さわらないで!」
手を振り解こうとする私を
少し驚いたような目で見つめ、
はっと軽く笑って見せた。
「そんなに俺を嫌うのか睦?」
「…え?」
そうだ。
この男、さっきもそう呼んだ。
私はつい下から睨め上げた。
「何だ?まさか素性も知らずに
嫁に迎えたとでも思ってたのか」
「……」
私は顔を背けるしかなかった。
少々この男を軽く見ていた。
そうか。
なら、単刀直入に、
嘆願してみるのも手かもしれない。
「では私の気持ちも汲んでもらえるのでしょうか。
あなたは私がここを出たい事を知った。
しかも、私の素性をご存知でいらっしゃる。
私がどうしたいか、賢明な貴方様なら
わかっていただけますでしょう?」
「今更叶うと思うか?」
一蹴…。
更に睨みつける私を、
おもしろそうに見下ろして
「…何て女だ。この状況で
そこまでの会話ができるとは」
クククと喉で笑った。
屈託のない笑顔につい見惚れ、
私はハッとして目を背けた。
「俺がおさめてやろうと思ったが…
必要ねぇか」
口ではそう言うのに、
ぐっと身を寄せて
そのままベッドに押し倒される。
「…!なにを…いや‼︎」
「薬の効きが悪ィようだな。
次回お前に使う時は量を調整しよう」