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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第19章 思い出 ☆彡






私の様子で、苦しんでいるのがわかっているくせに
更に強い力をかけてくる。

「くるしいです…っ!」

「この俺を翻弄するのか」

「してないですって。
ちょっと、逃げたかったのもあるけど
ほんとにおいしかったんだもん!」

1日あまりまともに食べていなかったせいか
余計に甘いものがおいしく感じた。

「しかも宇髄さんが
私のために買ってきて下さったんですから
余計においしい…でしょ?」

私の言葉を聞くうちに
ひどく満足そうに頷き出して
また私は余計な事を言ってしまったんだなぁと
自覚した。

「そうかそうか。素直で可愛いヤツだな」

頭のてっぺんに、すりすりと頬擦りをされて
そんなつもりじゃなかったのにと
自分に呆れてしまう…。
そりゃあこうなるでしょうね、この人なら…。

「やっぱり腹減ってたのか?」

私の全身を引き寄せて、自分の胸に
しなだれかからせる宇髄さんは上機嫌だ。

「…わかりません。
そんなに、食べたいわけじゃないんですけど…。
おいしかったんです」

「甘いモン好きだからな睦は。
食わねぇよりは食った方がいいんじゃねぇか?」

「じゃあ…」

離して下さい。
と、そう言いかけた私の口元に差し出される
甘い香りの、たい焼きのカケラ……

する事が速い。
速すぎて、
彼から距離を取るための言い訳には使えない…。
仕方なくそのまま
ぱくりと口に入れ、咀嚼…。

わかっているのかいないのか、
彼は終始にこにことして…

「うまいか?」

なんて訊いて来て。

その笑顔がとても素敵で
私は胸がいっぱいになっていくのを感じた。
満たされるって、こういう事を言うのかな…

幸せが溢れて身体が震えるなんて
生まれて初めての経験で、
恐怖すら覚えた。

そんな事を知りもしない宇髄さんは
次を私の口元に運ぶ…。

「…ごち、そうさま…」

惚けたような呟きに宇髄さんは目を見張った。

「もういらねぇの?
まだ半分も食ってねぇぞ」

「…はい。…でも、
やっぱりお腹空いてない、のかも…」

「なんだそりゃあ?」

宇髄さんは
なんとも言えない表情。
…まぁ、そうなるだろう…。
言ってる事が、ちぐはぐだものね。

「うん…なんだろ。
胸が、いっぱいで…」





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